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照とか息子より楽しみにしてるんじゃね？という笑いまじりの翔太の言葉に、由里がぴく、と肩を揺らす。
テーブルでキッチンの方を見ながら話していたから、「どうした由里」と「どうしたの」が見事に被る。
「もしかして……由里…」
「ち、ちがうよ。照くんがチョコ大好きなのはみんな知ってて、いっぱい貰うからひとつくらい別なのにした方が良いのかなって思っただけっ」
「なるほどねぇ〜？」
動揺からなのか“照くん”なんて呼び方が飛び出した。初めて由里から聞いた呼称だ。心の中で密かに使ってたのが出てきちゃった感じなのかな。
好き、とまでは言わなくても、すらっとしていてどんな敵からも守ってくれそうで、それでいて笑顔が優しい照だ。憧れみたいなのは抱いちゃうか。
別に取られたみたいでモヤっとはしてない。ただちょっと、ちょっとだけ、今年は俺からのバレンタインはなしにしようかなって思ったくらい。
いつも心から嬉しそうに美味しく食べてくれるから、結局あげちゃうんだけど。
「だから照の分だけいっつも多くしてたのか！」
「違うって言ってるでしょ！」
「あいつ…次会った時デコピンの刑だな」
「やめてってば！」
いよいよヒートアップしちゃって、お互いに余計な怪我をしないように場を諫める。
身近なかっこいい人に憧れる時期もあるんだから、と由里には聞こえない声量で、自分にも言い聞かせるつもりで翔太に言う。
そうしたら涼太こそマジで余裕なくしてら、というあまり嬉しくない落ち着き方をされてしまった。俺はいたって平常心です。
「涼太、気付いてないかもだけど肘掛け破裂するくらい握りしめてるぞ」
「えっ」
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作者名：べす | 作成日時：2023年2月13日 15時
