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一曲通し終わったタイミングで俯きながら呼吸を整えていると、目の前に人が立つ気配。
目の前の人が「ちょっと休憩ほしいな」と言うと、俺の肩を持って歩き始めた。


「……だてさん? なんかあった?」

「なんかあった……って、こっちのセリフ。阿部こそ何かあったの?」


泣いてるよ、なんて皆から離れたところで言われて、自分の頬を触って確かめる。
指先についている水滴は本当に涙なのかな、汗だと思いたいんだけど。


「目に汗でも入ったのかと思ったけど、そんな痛がってもないし……その様子だと気付いてなかったんだね」

「ん、全然」


でも、言われると自覚してしまう。
そして、自覚するともっと涙が溢れてしまう。


「なんか今日、いつもと違うなぁとは思ってたけどさ。どうしたの」


優しい声色で問いかけられて、ついぽろぽろと話し始める。
最近の仕事のことと、多分極め付けの今日のダンスのこと。


「みんな頑張ってるのに、俺だけ大変なわけじゃないのに……ついてくのに必死になって、情けなくなって……っ、ごめん」

「……俺は、情けないなんて思わないけどな」


舘さんから受け取ったタオルで目元の涙を隠しながら話す。
きっと、まとまってない話し方だっただろうに、舘さんはゆっくりと相槌を打ってくれる。
それから、はっきりと言ってくれるフォローの仕方に思わず『らしいな』と思ってしまった。


「誰でもさ、いつもは何気なくできることをすごく頑張らなきゃいけない日はあると思うよ。今日が、たまたまその日になっちゃっただけ」

「……明日は? 明日もダメだったら、どうしよう」

「そりゃ続くときもあるよ。だからそういう日は、1日頑張った自分をちゃんと褒めてあげて」

「ほめる……の、できるかな」

「出来なかったら人に褒めてもらいな。なんなら今、俺が」


ネガティブな俺に気付いたのか、舘さんがいつもより甘やかしてくれている気がする。
もう一枚舘さんが持っていたタオルを俺の頭に被せて、その上からわしゃわしゃと撫でてくれた。
こんな事、いつもしないのに。


「……元気でた?」

「ふふっ……うん。ありがとう舘さん」


気付けば涙が乾いて、自然と笑えていた。



_END_

◆人はそれをプレッシャーと言う/赤と青→←◆ネガティブさんがこんにちは/緑と赤



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(プロフ) - 青藤さんこんにちは。主様のお話をまた読みたくなってしまい戻ってきました。もしよければ白さんがお熱なお話を書いていただきたいです。お時間があるときで大丈夫ですので、ご検討よろしくお願いいたします。 (2023年2月20日 17時) (レス) id: 681f9fbf66 (このIDを非表示/違反報告)
祐筆 - リクエスト書いて頂きありがとうございます。弟感、バッチリ感じさせて頂きました!作者様の無理のない範囲で、これからも執筆されることを願っております。 (2022年8月19日 11時) (レス) @page14 id: a8c345a078 (このIDを非表示/違反報告)
祐筆 - ご返事ありがとうございます。気長に待たせていただきます!このご時世ですのでお身体にはお気をつけください。ささやかながら応援しております。 (2022年6月13日 16時) (レス) id: a8c345a078 (このIDを非表示/違反報告)
青藤。(プロフ) - 祐筆さん» ありがとうございます!リクエスト承りました。ただいま下書きに書きかけのお話もあり、そちらが完成し次第取り掛かりますのでしばしお時間いただきます。 (2022年6月13日 1時) (レス) id: 721ee07ec6 (このIDを非表示/違反報告)
祐筆 - はじめまして。以前から閲覧させて頂いてます。リクエスト宜しいでしょうか?赤さんが過労でアクロやダンスが上手くいかず落ち込んでるのに気づいた同い年3人(紫、桃、青)が赤さんを弟扱いして慰めるお話がみたいです。作者様が可能であればお願い致します。 (2022年6月12日 1時) (レス) id: a8c345a078 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:青藤。 | 作成日時:2022年5月4日 22時

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