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26. 万有引力 ページ26

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灯りのない夜の道が
数多の星を浮かび上がらせる。

いま流れた流星は、
誰かの命を乗せて逝ったんだろうか。



「…俺は直接やったよ。この手で」

「銀さん…、それって」

「お前は知る必要のねェことだよ
でももし、親殺しの罪でお前の首が斬られるなら
そんときは俺の首も隣に並べてやるって話だ」

「共死に」

「物騒な言葉つくんじゃねーよ夜道で」


いつしか会話は途切れ
建物に反響する靴音だけが響く。

私たちは
どちらかが何を話すわけでもなく、
ただ歩いた。



「…おまえ、俺が助けなかったら
あのとき死ぬ気だったろ」

「ちょっとは焦ってましたよ
冷蔵庫のプリン、まだ食べてなかったので」

「ずいぶんフランクな悔いだなオイ」

「そんなもので十分だなって
思うようになったんです。生きる動機なんて」

「まァな。俺もずっとジャンプ読んでっと
その繰り返しだよ」


「…それに
今は、死ぬ動機を探す方が難しくて」


冥土までの寄り道感覚で江戸へ来たのに
いつしか私は
明日も明後日も
みんなに会えることを信じて疑わない。


見えてきた屯所の灯りが銀さんと私を照らす。

門の前に、
誰かがいる。

逆光になって、此方からは誰だか判別がつかない。


「まァ昔のお前みたいに
アイツらは簡単に見送ってはくれねーだろうな。
たとえば、…総一郎君とか?」

「Aさん……と旦那」


影の主は沖田くんだった。

私の姿を認めると、
彼はすぐに駆け寄ってきては
ぐいっと私を引き寄せた。

よろけた私はあっという間に
沖田くんの胸に収まってしまう。


「じゃア旦那“うちの”Aを送り届けてくださって、ありがとうございやした。」


見上げた沖田くんの顔は仏頂面で
ぐぐっと私の肩を抱く手に力が入るのを感じた。




「ったく、A
ちったぁそのセコム融通効くように調整しとけよな

んじゃお望み通り、邪魔者は退散しますかねっと」


「銀さん!あの、ありがとうございました!」



ひらっと手を振って背中にかかるAの声に応えると、俺は再び夜の帳が下りる道を引き返す。


「…そん時がきたら
俺はいつでも付き合うぜ」

なんて、聞こえてる訳ねーか。


沖田に説教されるAを遠目に
俺は歩いた。

寿命を迎えた星が
精一杯最後の輝きを放つのを見上げながら。




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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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みけ(プロフ) - 笛さん» 毎度ありがとうございます^^ 沖田くんメインで書いてるので、銀さんには少々我慢して頂いてますw (2021年2月19日 21時) (レス) id: 85e7eab2a4 (このIDを非表示/違反報告)
- 今回の更新最高です!!!銀さんがかわいそうな気がするけどwwww (2021年2月19日 20時) (レス) id: bff55455ee (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 笛さん» ありがとうございますっ!お待たせしております。ただいま予定が立て込んでますゆえ、もう少々お待ちください…! (2021年2月10日 18時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)
- 毎日寝る前に更新チェックしてます!!!! (2021年2月10日 1時) (レス) id: bff55455ee (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 笛さん» コメントありがとうございます!わたしの文章でそう感じていただけることが幸の極みでございます…!精進いたします! (2021年2月7日 20時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:人魚ちゃん | 作成日時:2019年2月14日 4時

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