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27. 真夜中の戦争 ページ27

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「ったく、見張る立場のお前がさぼってどうすんだ」

「はい…すみま、ごめんなさい…」


屯所に到着して現在。
かれこれ一時間ほど土方さんにこってり絞られている。
相当気が立っていたのか
土方さんの煙草はこれでもう4本目だ。

バレたらただじゃすまないことは覚悟していた。
すぐに戻るつもりだったけど、
思ったより長居してしまった…なんて言い訳通じるはずもなく。

これから1カ月間、土方さんに
土方スペシャル −究極(アルティメット)− とMayoboroを献上し続ける事を条件に
なんとか解放された。

そこから仕事をこなして
気づけば時間は真夜中を迎えようとしていた。



すっかり静まり返った屯所の廊下を歩く。
どれだけ気を付けても経年劣化によって床板はギシギシと音を立てた。

流石に今日は
心配をかけてしまった沖田くんに一言挨拶をして帰ろう。

土方さんは…怖いからいいや。


そうして部屋の前まで来てみたはいいものの
既に灯りは消えている。

やっぱもう寝ちゃってるかぁ…


「あり、Aさん?」


振り返ってみると、
背後に立っていたのは沖田くん。

髪が濡れている。
お風呂上りだろうか。

ゆるく着た着流しからは形のいい鎖骨と
程よく筋肉のついた胸元が露わになっている。

"夜這いですかィ"と黒い笑みを浮かべる沖田くんが出す色気は
おおよそ18歳のそれではない。

何かいけないものを見てしまったような気がして慌てて目をそらした。
どっちが年上なんだか分かったもんじゃない。


「もう、どこでそんな言葉覚えてきたの
一言挨拶しようとしただけだから、もう帰る」

「帰る?今からですかィ?」


途端に怪訝な目で私を見つめる沖田くん。
するとその表情は突如
悪戯を思いついた悪餓鬼のような笑みに変わる。

…この顔、私は知っている。

この整った悪餓鬼スマイルにロックオンされたら最後、
クルーズ船並みの助け船でも来ない限り逃れることはできない。

こういう時は逃げに転ずるのが一番である。

徐々に距離を取り
一気に駆けだそうとした瞬間、ガシッと腕を掴まれた。


「つかまえた」

「やだっ!その顔やだ!離して!」

「しーっ、騒ぐと土方さんにまた怒られやすよ」


爽やかな笑顔からは想像できない抗いようのない力で部屋に引っ張られる。

これは拉致だ、誘拐だ、犯罪だ!
警察…だめだこの人警察だ!



―万事休す。



やがて音もなく閉まる襖が

手に汗握る攻防に終始部を打ったのだった。


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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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みけ(プロフ) - 笛さん» 毎度ありがとうございます^^ 沖田くんメインで書いてるので、銀さんには少々我慢して頂いてますw (2021年2月19日 21時) (レス) id: 85e7eab2a4 (このIDを非表示/違反報告)
- 今回の更新最高です!!!銀さんがかわいそうな気がするけどwwww (2021年2月19日 20時) (レス) id: bff55455ee (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 笛さん» ありがとうございますっ!お待たせしております。ただいま予定が立て込んでますゆえ、もう少々お待ちください…! (2021年2月10日 18時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)
- 毎日寝る前に更新チェックしてます!!!! (2021年2月10日 1時) (レス) id: bff55455ee (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 笛さん» コメントありがとうございます!わたしの文章でそう感じていただけることが幸の極みでございます…!精進いたします! (2021年2月7日 20時) (レス) id: 44e1804c7a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:人魚ちゃん | 作成日時:2019年2月14日 4時

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