【銀魂】江戸に住んでもろくなことない。

2.　一文無し ページ2

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見慣れない銀髪。

がっしりとした逞しい腕に、
私の身体は抱きかかえられていた。

クセっ毛の前髪の隙間から覗く緋色の瞳は
強い光を湛えている。


「あの…」

「…」


「銀ちゃーん！」
「銀さーん！」

遠くから若い男女２人の声が響き
チャイナ服を着た女の子と、平凡そうな男の子が近づいてきた。


「流石銀ちゃん！ナイスセーブアル！」
「大丈夫でしたか？怪我ありませんか？」

「あ、はい……」


瞳を輝かせる女の子とは裏腹に

男の子は心配そうに私を覗き込む。


「ったく、しっかりしろ。オマエ死ぬとこだったんだぞ」


やれやれといった具合の声音とともに
銀髪の彼はそっと私を地上に下した。

先程までの光は何処、

その時の彼は気の抜けた死んだ魚の目をしていた。


「すみません…、つい固まってしまって…。」

「ま、今後は気を付けるこったな。
ここいらじゃ珍しくねーからよ」


えっ、そういう反応するの？

これは…
私が思ってた以上にやばそうだ。

そりゃ家賃も低いわなぁ…。

はぁ、との相槌とともに
溜息が口をついて出る。


「無事でよかったアルなお嬢ちゃん」
「神楽ちゃん多分この人神楽ちゃんより年上だよ」

得意気に頷くチャイナ服の女の子
神楽ちゃん、っていうのかな。

すかさず突っ込む眼鏡の少年。
たぶんそういう人。

堂々と鼻をほじる銀髪の人
確か、銀さんだかなんだか、呼ばれてたっけ。


…どういう３人なんだ？

明らかに年齢だって全然違うし、かといって親子には到底見えない。

でも

自分が命を救ってもらった身だからかもしれないけど

この人たちがいれば絶対大丈夫って、
そんな気がする。


江戸に出てきて
こんな人に出会ったのは初めてだ。



「あの、ありがとうございました！助けて頂いて」

「いえいえ！でも、大変でしたね。これじゃあ…」

「あー…」


私の家の方向を見やると、
もう、それはもう…無残で…

ああ、やっぱりプリン食べとけばよかった…。


イヤ、本当に、待って？

私、死んだ。

これは社会的に死んだ。


「ぶ、ふぃ…」

「あああっ！倒れちゃいましたよ！」

「銀ちゃんの糖尿病移ったアルか？加齢臭？加齢臭のせいアルか？」

「まだ糖尿病は予備軍ですう
しかもジャンプの主役は加齢臭なんてしませんー」

「当たり前デショ、主役兼ヒロインは私アル」

「銀魂の銀は銀さんの銀だろーが！単行本一巻から読み直せや！」

「今それどころじゃないから！！倒れてるの！人が倒れてるの！」



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