【銀魂】江戸に住んでもろくなことない。

20.　処世術 ページ20

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真選組屯所、庭先。


「…よいしょ」

「あっ洗濯なら俺たちも手伝いますよ！」

「えっ本当に？
お仕事はいいんですか？」

「今日オフなんで！」

「オフなのにありがとうございます、助かっちゃうな」


もともと女中など
この屯所にはいない。

私が無理やりお願いして貰った仕事だったから。

隊士たちが当番制でやってたことを、
週に何日か請け負う形で私は働いている。

それでもやっぱり、屯所に住む隊士分の世話は体力を使う。

そこで私はある方法を思いついた。



屯所に女性は私だけ。

普段女性と接点のない隊士たちと一緒に働く中で
愛想はいい方が役に立つ。

下手に媚びへつらっても失敗しちゃうから
いい塩梅で隊士たちの自尊心を立て、
気分よく仕事を手伝ってもらうスキルを私は身に着けた…のに。


「お前ら今日の鍛錬はどうしたんでィ」
「ヒッ‥‥お、沖田隊長…」
「どうしたんでィ。鍛錬」
「…失礼シマシタァァアアッ！」


驚くほどあっという間に
集まってきていた隊士たちが尻尾をまいて逃げていく。

ああ…せっかく手伝ってもらえそうだったのに…。


「も〜〜邪魔しないでよ」

「怠慢な野郎共のケツ叩いて何が悪いんでィ」
「沖田君が言う？」
「俺は朝済ませやした」
「立派、立派」

「じゃなきゃAさん相手してくれねぇし」


最近は専ら、私のお手伝い作戦は沖田君にぶち壊されている。

結局沖田くんが手伝ってくれるから、
楽なのは楽だけど
人手は多い方がありがたいんだよなぁ。


「最近Aさん、隊士どもに愛想振りまきすぎでさァ
彼奴らこの間Aさんのスリーサイズで賭けしてたんですぜ」

「処世術だよ、処世術。実際に私に何かしてくる訳じゃないからいいじゃないの」

「俺が嫌でィ」


むぅっと沖田くんが拗ねる。

むさくるしい職場でセクハラは付き物。
それでも続けてられるのは、その度に沖田くんや土方さんが助けてくれるからなんだよ。
ついでに私と入れ替わりのようにお妙さんの所へ赴く近藤さんも、たまに。

「ありがと」

口を尖らせる沖田くんをわしゃわしゃと撫でると、
上目遣いでじぃっとこっちを見つめてくる。

わざとやってるのが分かってても
可愛いと思えてしまう、私も丸くなったな。

「皆にもそんな感じだったらもっと可愛がられるのに」

「Aさんだからしてるんでィ。
もっとありがたがってくだせェよ」

「それが沖田君の処世術？」

「護身術でさァ」


お母さん、私
なんとか生きてますよ。

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