【文スト】 いただきます、したら 『うずまき』 にいました。 にっ！

その84　『クソ太宰』 ページ37

『そもそもですね！！ いい大人なのに心中とか言ってる時点でおかしいと思うんですよ！！』


「だよな！！ 女はなんであンなのに引っかかるんだ！！」


『本当に！！』


「ったくよぉ！！」


「『あのクソ太宰！！』」




悪口の終止符を打つかのようにピッタリと揃った私と目の前の人の声。




『…え？』


「…あ？」




思わず間抜けな声が漏れるのは仕方がないことだ。




『…だ、 太宰さんの知り合いなんですか…？』


「やめろ、 あんな奴の知り合いだと認めたくねェ」




先程からどうにも話が合うと思ってはいたが、まさか同じ人のことを話しているとは




『…まぁ、 確かにあんな人そうそういませんもんね』


「いてたまるか」


『ですよね…』




話によると此処はポートマフィアの地下室で、この人もポートマフィアの一員さんらしいが

どうにも悪い人とは思えない


というか、太宰さんよりも優しそう




『見た目で人を判断しちゃいけませんよねうん』


「なンだ急に」


『気にしないでください』




どうやら、この人は『中原中也』さんというらしい

芥川龍之介さんの羅生門は知っていたので、あの人は芥川さんだ、と分かったが中原中也なんて名は聞いたことがない。


…覚えてないだけかもしれないけど


いや、私の記憶力が悪いって訳じゃない…と思うけどね！？



血生臭い地下室、ポートマフィアの拷問室にいるのに何故冷静なのか。

それは私にも分からない。


普通なら、何も話せなくなるくらいに怯えてしまうはずなのに私は平然と拘束されたまま座っている

今思えば、この世界に来た時もさほど動揺しなかった。



私は、何処か欠陥している




「…さて、 どうすッかなァ。 お前」




仕事モードに入ったらしい中原さんは考えるように手を自分の顎へと持っていく。




『こ、 これ私どうなるんですかね？』


「首領に連絡したら連れて来いだとよ」




中原さんがそう言うと、突然両手両足の枷がはずれた

いや、潰れたと言った方が正しい




『うわぉっ！？ えこれ…』


「こっから先はついてこい。 言っておくが逃げようなんて馬鹿な事は」


『この枷すっごい高そうですけど…壊しちゃって良かったんですか…』


「…お前が暴れたって事にしとく」


『うわぁ、 こんな大人にはなりたくない。』

その85　『高そうなお部屋』→←その83　『勘違い』

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す