事件・スゴウデ執事6 ページ10
そうしてロッドくんの浮遊魔法を試すことになった。ロッドくんは事前にお皿に魔法をかける。そしてそのまま、皿洗い……という流れだ。
「ルビー先輩、俺がんばるから見ててね!」
気合いの入ったその言葉に、私はうん。と頷いてみせる。ロッドくんが皿に浮遊魔法の呪文を唱えれば、ふわりとした光が物体を包み、やがて宙に浮いた。よし、これからだ。ロッドくんはぎこちない手で皿を洗っていく。
「ロッドくん、10枚できたら成功だよ」
「う、うん……!」
1枚、2枚と、ロッドくんは着実に皿を洗っていく。けれど、その表情は少しばかり苦しそうであった。魔法は集中力を使うので、持続させるのがちょっと難しいのかもしれない。
「ロッドくん、1度休む?」
「ううん!俺、レクみたいなメイドじゃないし、魔法だってまだ全然、しょぼいんだ。だけど、俺もすごい執事になりたいから!クミンがくれたアイデアだから!俺、頑張りたい」
ロッドくんは諦めなかった。8枚目がくれば、もうロッドくんの顔には疲弊の色があった。
後、2枚。私は祈るばかりだった。それと同時に彼の姿が、私に光としてみえる。
その光はまさしく、暗闇の中で唯一道標としてあるようなもの。星のようなものかもしれない。
私はそれに、とても心を奪われ、自然とメモを開いた。
「後、1枚……!」
そうして、最後の1枚が洗い終わった。ロッドくんは本当に嬉しそうに、私の方に走ってやって来て、飛びついた。
「やったー!!ルビー先輩、俺やったぞ!!」
「うん、うん!よかったね!!」
他の人からすれば当たり前のことでも、彼はそれができなかった。でも、それを克服する力は6つの小さな少年にあったのだ。
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作者名:MIO | 作成日時:2020年1月7日 19時