検索窓
今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:2,536 hit

事件・スゴウデ執事6 ページ10

そうしてロッドくんの浮遊魔法を試すことになった。ロッドくんは事前にお皿に魔法をかける。そしてそのまま、皿洗い……という流れだ。

「ルビー先輩、俺がんばるから見ててね!」

気合いの入ったその言葉に、私はうん。と頷いてみせる。ロッドくんが皿に浮遊魔法の呪文を唱えれば、ふわりとした光が物体を包み、やがて宙に浮いた。よし、これからだ。ロッドくんはぎこちない手で皿を洗っていく。

「ロッドくん、10枚できたら成功だよ」

「う、うん……!」

1枚、2枚と、ロッドくんは着実に皿を洗っていく。けれど、その表情は少しばかり苦しそうであった。魔法は集中力を使うので、持続させるのがちょっと難しいのかもしれない。

「ロッドくん、1度休む?」

「ううん!俺、レクみたいなメイドじゃないし、魔法だってまだ全然、しょぼいんだ。だけど、俺もすごい執事になりたいから!クミンがくれたアイデアだから!俺、頑張りたい」

ロッドくんは諦めなかった。8枚目がくれば、もうロッドくんの顔には疲弊の色があった。
後、2枚。私は祈るばかりだった。それと同時に彼の姿が、私に光としてみえる。

その光はまさしく、暗闇の中で唯一道標としてあるようなもの。星のようなものかもしれない。
私はそれに、とても心を奪われ、自然とメモを開いた。

「後、1枚……!」

そうして、最後の1枚が洗い終わった。ロッドくんは本当に嬉しそうに、私の方に走ってやって来て、飛びついた。

「やったー!!ルビー先輩、俺やったぞ!!」

「うん、うん!よかったね!!」

他の人からすれば当たり前のことでも、彼はそれができなかった。でも、それを克服する力は6つの小さな少年にあったのだ。

事件・スゴウデ執事完→←スゴウデ執事5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (7 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2人がお気に入り
設定タグ:王立シエル魔法学院 , 魔法学校   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:MIO | 作成日時:2020年1月7日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。