【氷菓】季節外れの新入部員 (ページ36)

今日:28 hit、昨日:13 hit、合計:42,001 hit

♯３６　―spade ページ36

「名前、名乗ってなかったわね。あたしは秋丸聖良。んでもってこっちは長谷部遥よ。」

長谷部と名乗られた陸上部員は軽く会釈をした。

「何の意味があるかはさっぱり理解できないけど、何かに巻き込まれてるのは確かよね？
　だったら、この紙預けるわ。何か分かったら報告して頂戴。」

秋丸聖良、と名乗った人物は長谷部陸上部員を連れて去っていった。
秋丸が３。
長谷部が４。…だめだ、さっぱり分からない。

「このサイコロの意味が…。」
「折木さん、やってくれるんですか！？」

呟いただけなのにこの食いつきよう。おれの言葉にそこまで反応されても困る…。

「…、少し考えるだけだ、変に押し付けられて何もしないで返すわけにはいかんだろ。」
「あー、なるほどです。」
「何か欲しい情報とかあるかい。ホ―タロー。」
「…それさえ分からないから唸ってるんだ。」
「…そりゃそうだね」

「とにかく、移動したほうがいいんじゃないの？邪魔だし時間も時間だし…。」

伊原が腕時計に目を落としながらそう呟く。遅刻はそれでめんどくさい。省エネじゃない。

「行くか…。」

それぞれ紙を持って歩き出した。
湖山A――１
伊原摩耶花 ――２
秋丸聖良 ――３
長谷部遥 ――４
福部里志 ――５
折木奉太郎 ――６

見開きに書かれている数字通りに並べるとこうなる。…そうするとサイコロの面が告げている番号に話しがうつる。

湖山A――１
伊原摩耶花 ――５
秋丸聖良 ――３
長谷部遥 ――４
福部里志 ――６
折木奉太郎 ――２…。

湖山と秋丸と長谷部は同じ数字だが、俺と里志と伊原は別…。
そこに注目すべきなのか、それとも数字は全体的に見たほうが効率が良いのか。

そして、ヒント…。『名前に注目』。どう注目するのかまで書いてくれれば手っ取り早いのだが…。相手もそこまでお人よしではないらしい…。