♯32 ―spade ページ32
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体育祭も近くなってきたころ、
シュミレーションというか、流れ練習というか、通し練習というか…。
ためし走りというか…。
「みんな陣取ってるね。ホ―タローもそのうちの1人かい?」
里志が俺の横を陣取っていつも通りの笑みでそう言った。
「それを言うお前もだろ。」
「あ、ばれた?いやー、注目の的だからね。湖山さんは。」
「…。らしいな。」
短距離走と長距離走に出る選手たちの互いの詮索をするために
今日の体育の時間を費やすらしい。
まずは短距離走。古典部でクラスメートである湖山が走るとなると
完璧なスル―はできなかった。
「ほら見てホ―タロー。
陸上部も前を陣取ってる。湖山さん、プレッシャーとか感じないのかな?」
「感じないんじゃないのか。慣れって言うのは案外怖いものだしな。」
経験者っぽくいってくれるね、と里志は俺を見ながらそう言った。
プレッシャー…。
中学のころから走ってる湖山にとっては本当に慣れてるのかもしれない。
当然、俺はそういう立場には立ったことがない。
俺は湖山に目を向ける。
至って普通に準備運動を湖山は軽くしていた。
「ホ―タロー、賭けをしてみない?」
「は?」
「今日、湖山さんが勝てるか勝てないか。」
湖山が白線のところに立つ。
「里志、お前…。」
「ん?」
湖山は右足を引く。他のランナーも同じように足を引く。
先生が旗を揚げる。
「賭けるまでもないだろ。」
俺がそこまでいうと、里志は「だよね」と言った。
先生が旗を下げる。湖山達が走り出す。
みれば一目瞭然。
賭けるまでもない。
「さっすが湖山さん、としか言えないね。」
里志と同じように他の野次馬も似たようなことを言っていた。
「あぁ」
それは同感せざるを得ない。
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龍(プロフ) - ちゃめさん» 『ちゃめ』さん、コメント&応援ありがとうございます☆ (2012年9月2日 19時) (レス) id: ea0f0213a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リュウ | 作成日時:2012年9月2日 1時