待ち合わせ2 ページ29
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昨日彼と何度かメールのやり取りをして、とある喫茶店で待ち合わせることになった。身支度を整えて、待ち合わせの喫茶店に向かう。
目的地に到着するなり喫茶店の中に入ると、懐かしいjazzが流れていた。大学時代、jazzサークルに入っていた自分が初めて練習した曲であった。店内にはjazzのレコードがたくさん立てかけられており、どうやらここはjazz喫茶らしい。奥へ歩き進めると、そこにはやや狭い店内に彼と店員の二人がいて、仲良さそうに話をしていた。
名前を呼んだことで自分に気づいてくれて、簡単に挨拶をする。彼が、このお店を待ち合わせにした理由は自分がjazz好きだという事を覚えていたからとのことだった。何気ない会話を覚えてくれていて嬉しく感じる。
そして懐かしそうに店内に流れている曲を弾けると話したら、店長が店内のピアノで弾いてほしいとお願いしてきた。弾けると言っても数年ピアノに触れてなかったし、助けを求めようと彼を見る。
「僕も聞きたい」
『ふ、降谷さん！』
店長がピアノの準備を終えると、ご丁寧に楽譜まで用意してくれた。ここまでされたら逃げられなくなり、諦めたように楽譜を受け取るとピアノの前の椅子に腰掛けて、音を確認するように鍵盤を叩く。
何となく感覚が掴めれば、先程店内に流ていたjazzピアノを演奏し始める。直ぐに感覚が戻ってくれば、鍵盤を軽やかに叩いて音を奏でていく。
5分程で演奏を終えると、二人の拍手が聞こえたのでそちらを向いた。
「お姉さんすごいね！」
『お粗末な演奏で申し訳ないです。そう言って頂いてありがとう御座います』
「色っぽくて素敵な演奏でしたよ」
『ふふ、ありがとう御座います』
二人に褒められて照れ臭そうにしながらカウンターの椅子に座り直す。安心から喉が渇いてしまったので、店長に珈琲をお願いした。
「他にも弾けるんですか」
『はい、ある程度は』
「へぇ。今度また聞かせてくださいね」
『恐縮です』
お世辞かもしれないが、ピアノのの事でこんなに褒められることはあまりないのでどこか擽ったく感じる。
「中西さん、この後行きたいところがあるんですけど」
『え？いいですけど』
「ありがとうございます」
店長が淹れてくれた珈琲を飲んでいるときに彼が行きたい所があると言うので付き合うことにした。
『何処へ行くんですか？』
「まだ秘密です」
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作者名：ゆきだるま | 作成日時：2018年5月26日 8時
