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「その場その場で話題になり、流行になるが、その理由がわからない。統計もとらず、数打ちゃ当たるの勝負をしている。博打にしても、下手すぎる。流行をつくりだすシステムを形成できずに、その場でただ『当たった、当たらない』と盛りあがってきただけだ。お金をばらまけば、その場にいる人間は喜ぶ。だけど、お金の使いかたとしてそれは無駄遣いでしかない。どぶに捨てているだけだ、何の投資にもなっていない」
流石、天祥院財閥の跡取り……普通の高校生ならそんなこと考えないよ
「喩えるなら海外は『武道』で、国内は『喧嘩』だ。がむしゃらにやれば、一時的に『喧嘩』が勝利することもあるだろう。だけど長い目で見れば、システムを形成し、そこに注力した『武道』のほうが強い。完成されたシステムは、どんな天才的な個人をも凌駕する。最終的に、竹槍と戦闘機の勝負になる。勝ち目がなくなってからじゃ、遅すぎるんだ。天才はいらない、一騎当千の強者もいらない。大量生産され訓練を施された『普通の兵隊』のほうが、いつか必ず強者となる。システムに注力するというのは、そういうことだよ。話がすこし逸れたね。僕の言ったことの意味が今はまだわからないかもしれないけど、よく考えてほしい」
だいぶ話逸れてましたけどね
「アイドル業界の未来のために、君たちも貢献してほしいな」
「俺たちに、あなたの兵隊になれというのか……『皇帝』陛下？」
「僕の、ではないね。アイドル業界の、兵隊になってほしい。もっと言えば、奴 隷になってほしい。しかも喜びながら奉仕する、幸福な奴 隷になってほしいんだよ。僕は長い目で見ている、システムについて考えている。その場その場の勝った負けたには、興味がないんだ。『アイドル』という存在を国内の喧嘩自慢で終わらせずに、人類史に名を残す偉大な武道家として、英雄として、文化として根付かせたい」
奴 隷って……もっと違う言い方ないの……これじゃあ誰も従わないよ
「僕のアイドルを、文化という高みにまで引きあげる。いいや、それ以上の存在に昇華してみせる。君たちには、それを手伝ってほしい。君たちにはそれができる。才能がある、資質がある。きっと、多大な戦果をあげられる。そう見込んだからこそ、こうして声をかけているんだよ。氷鷹くん、君のご両親にも根回しは済んでいる。応援してくれるようだよ、疑うならご実家に確認をとってほしい」
親にまで根回しするなんて……
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作者名：ポン酢 | 作成日時：2021年2月17日 22時
