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「……いいの？」
「うん」
「そっか。じゃあ遠慮せずに、踊ってるから。うざかったらごめんな？あと、帰るときは言えよ。家まで送ってってやるから。もう外は真っ暗だからな。女の子のひとり歩きは危ないだろ？大事にしないとな、おまえのこと。何たって、スバルや北斗が言うには……おまえは俺たち『Trickstar』の、勝利の女神らしいからな？」
『あんず先輩が勝利の女神……！』
なんか、かっこいい！！
「……真のやつ、遅いな。『ちょっとランニングしてくる』つって出て行ったっきり、戻って来ないんだけど。あいつ、どっかでぶっ倒れてんじゃないだろうな？心配だな。俺、ちょっとそのへん見てくるよ」
『私も行こうか？夜目きくし』
「〜♪あれっ。まだいたの、さんにんとも？もう日付が変わりそうな時刻だよ〜？」
「おぉ、真……。こっちの台詞だよ。おまえも、まだ帰んないの？ていうか、どこをほっつき歩いてたんだよ。あんまり心配させんなよ。いま、探しにいくところだったんだぞ？」
「いやぁ、ランニングしてたら『ちょっと面倒なひと』に絡まれちゃってさ」
面倒なひと？
「どうにか振り切って逃げてきたんだよ、あぁ生きた心地がしなかった！もともと、今日は泊まりこむつもりだったんだ。いちど家に戻って、布団とか非常食とかもってきたの。『S1』までは、この防音練習室で毎晩すごすつもり〜♪」
「泊まりこむって……。まぁ、校則違反ではないけどな。防音練習室は一週間、二十四時間、俺たち『Trickstar』の貸し切りだし。気合い入ってるな、真。そんなんじゃ『S1』まで体力もたないぞ、抜くとこは抜かないと。まぁ、こんな遅くまで居残ってる俺が言えたことじゃないけど」
「あはは。大神くんとの特訓で、それなりに体力ついたから大丈夫。僕はそのぐらいしないと、みんなに置き去りにされちゃうしね〜？それにちょっと、学校に泊まるなんて部活の合宿みたいで楽しいじゃない。そういうの憧れてたんだ〜、青春っぽいでしょ？」
「そっか。じゃあ俺も泊まろっかな、こんなところで独りぼっちじゃ寂しいだろ？」
「平気だよ、ちっちゃい子供じゃないんだから。僕、あんまり家族とうまくいってないからさ……家に帰っても息苦しいし、ここで寝泊まりするほうが気楽なの」
「う〜ん。いや、やっぱり俺も泊まる。おまえちょっとブレーキ壊れてるところあるからな、誰かがそばで見守っとかないと」
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作者名：ポン酢 | 作成日時：2021年2月17日 22時
