小悪魔☆ハニーvol.16《T.MASUDA》 (ページ47)

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オレと一切視線を合わせず、
うつむいたままで……。

A「私ならだいじょーぶだから…。…行ってください。」

増田「A…」

A「だいじょーぶだから…w
私が平気なうちに……行って？」

……。

腕を緩めたｵﾚは

膝から立ち上がり、一歩後ろに下がったAに触れようと手を伸ばした。

けど…
Aは顔を背け。

その手は希に掴まれて。

Aに触れることはできなかった。

希「あっちで…今後のことを話そ？」

増田「A……」

Aは…。
唇を噛んで。
視線を落として。

「…ﾊﾞｲﾊﾞｲ」って笑う。

…情けなかった。

気の利いたことも…

Aを庇うことも…。

何もできなかった。

「…ごめん。」

言葉になったのはそれだけ。

Aと付き合って…

Aと同棲してまだ数日…

今日の夜は
前にした…ﾅｲｼｮの約束を
叶えてやるつもりだった

覚えてるかどうかわかんないけど…

水族館の帰り…

不思議そうに聞いた、お城みたいな建物の意味を教えるのは「大学合格したらね。」と…約束した。

…まさか叶えさせてやれないなんて。
思ってもみなかった。

希と車に乗り…。
とりあえず希の家に向かうけど…

頭が真っ白で…
どう運転してきたか覚えてない

とにかく…

状況を把握するので精一杯だった。

希「増田くんの車…久しぶりだな。」

増田「……。」

当然のように助手席に座る希を拒むことも忘れ…。
言葉も出なくて…。
ただ希の話を黙って聞くだけ。

「……また。増田くんの隣…♪」

「…なんか久しぶりで照れるなw」

「増田くんはやっぱりｶｯｺｲｲね…♪」

……

何を言われても耳に入ってこなくて。
ｵﾚの耳に残っているのは初めて聞いたAの「ﾊﾞｲﾊﾞｲ」…。

「またね。」でも。
「明日ね？」でもなく。

「ﾊﾞｲﾊﾞｲ」…。

希「増田くんさ…本当に覚えてないの？」

増田「……。」

希「私のこと抱いてくれたのに…。」

増田「…。」

希「あんな風に。
Aちゃんのこと…抱くんだね」

増田「…。」

希「ﾔｷﾓﾁ妬けちゃったw」

増田「…。」

…。