【夢主】タソガレドキ忍者隊の紅一点 (ページ4)

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肆ページ4

声が聞こえた。複数の男の声だ。４、５人と言ったところか。だんだん意識がはっきりしてくる。目はまだ開けない。聞こえる声は遠く状況がつかめない。

　(ここは恐らくタソガレドキ城内……。最後に見たあの男は……)

　自分の首を絞めた男には見覚えがあった。タソガレドキ忍者隊組頭、雑渡昆奈門。このあたりの忍なら、誰もが名前を聞いただけで身を固くするような人物。

　そんな奴がなぜ私をここへ？私が男を背負って走ったあの状況、はたから見れば拉致現場に等しい。てっきりあのまま殺されると思っていた。怪しい者は捕虜、ということか。しかし捕虜を取るのも容易ではない。そいつの仲間が攻め入ってくる可能性もあるし、見張りに人員を割く必要もある。女一人あの場で殺しても、獣が屍を漁ってくれるから、その方が圧倒的に楽なはず。

　(…………殺さない理由が思いつかないんだよなあ……)

　「あのさあ、」

　突然、大きな声が響いた。

　「いつまで寝てるつもりかな？」

　(……ばれてたか)
　
　目を開けゆっくりと身を起こす。目の前のふすまは開かれており、その部屋には５人の男が座っていた。雑渡昆奈門、童顔の男、鋭い目つきの男、先ほど手当てした男、面をつけた男。

　「ええ！いつから気づいてたんですか、組頭」

　童顔の男が丸い目をさらに丸くして言う。

　「尊奈門……、お前はもう少し取り繕うとか、ないのか……」

　なるほど目つきの鋭い男のほうが上司らしい。

　「さて、お目覚め早々申し訳ないが、早速本題に入るよ」

　雑渡昆奈門の単眼がこちらを静かに見据える。抵抗の余地はないだろう。

　「……ええ、どうぞ」

　「よし、じゃあ質問コーナーと行こうか。最初、私からね。名前は？」

　……あ、そんな感じ？

　「A」

　「はい次尊奈門。そこから順番ね」

　「えっと、齢は？」

　「26」

　「生まれは？」

　「豊前」

　「……職業」

　「……医者」

　「ほう。では前職は？」

　「…………忍」

～～～～～

続きます