陸の話 ページ6
「成程、そこの猫を助けたら400年前に来てしまったと…それは大変ですね」
『はい…猫ちゃんのせいかは分からないんですけど』
「にゃぁ」
私が撫でると、また擦り寄ってくる猫ちゃん。永見さんは何故か神妙な顔つきでそれを見ていた。
「……その猫、さっきから少し怪しいんですが、Aさん、少し距離をとって頂けませんか？」
『へ？』
「その猫をそこに置いて、Aさんだけわたし側に来てください」
「にゃあ」
『どうしてですか？』
「良いから早く」
「にゃぁ……」
永見さんがそう言うと、何故か先程より強く私の方に擦り寄ってくる猫ちゃん。
『…よく分からないけど、一回離れようね〜』
「ふに゛ゃぁぁっ」
『ごめんね』
「……Aさん、此方へ」
永見さんの方へ私が歩くと、その後ろを着いてこようとする猫ちゃん。
すると永見さんがいきなり大きな声で
「急急如律令！！」
と唱えた。
*
私と永見さん、猫ちゃんを囲う煙幕。
永見さんが何かを唱えたあと、急にこんなことになったのだ。
『ごほっ、…永見さん、これは？』
「Aさん、私から離れないで、しっかりと先程の猫を見て下さいね…」
『煙幕で見えないんですが……』
「そのうち見えるようになります…」
私と永見さんがゴホゴホ言っていると、永見さんより少し高い咳き込んだ男の人の声が煙幕から聞こえてきた。
『……え？』
「正体を現しましたね…………“猫又”」
「ごほっ………ちっ、陰陽師か……」
猫又、と指さされたのは、先程まで猫ちゃんが居た場所。
煙幕が解けて周りが見えるようになると、その人は姿を現した。
「……よく俺が猫又やと分かりましたね。流石は陰陽師、褒めてあげます」
「褒めてもらわなくても結構。尻尾が二股の時点で分かりますよ」
『……え？………猫又？』
あの猫ちゃんが？と私がその人を見ると、その人は私ににこりと微笑んでその場にしゃがみこんだ。
「Aさん、助けてくれてありがとうございます。ちょっと異空間で遊んでたらあの時代で怪我しちゃいまして…俺の名前はショッピです。片仮名で、ショッピ」
『しょ、ショッピ…』
「猫又やのによく神社に入ってこれましたね」
「…ちょっと先輩に助けて貰ったんで。あと、俺の手違いでAさんをここまで連れてきてしまったから、何とかしてあげなと思いまして」
ね、Aさん、と私を見るショッピ。
ほんとにあの猫ちゃん……？？？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1307人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にゃーちゃん - めちゃくちゃ好きです…!!マジで尊過ぎる…しかも推しの一人(htrn)出てきたってマジ？神回の予感しかしない…!!!更新頑張って下さい。楽しみにしてます！ (2023年5月3日 0時) (
レス) @page27 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
柚衣 - 続きがとても待ち遠しいです！妖パロめっちゃ好きなので、この作品を見つけることができて、よかったです。更新頑張ってください(^∇^) (2022年4月19日 18時) (レス) @page25 id: a954c39e8d (このIDを非表示/違反報告)
舞太郎 - 珍しい妖パロですねえこういうの雰囲気結構好きですねええ続きが楽しみだわ。神作品だねえ (2021年9月12日 14時) (レス) id: 6f46ea7e84 (このIDを非表示/違反報告)
トシinミルク - 続きが楽しみです！更新頑張ってください！ (2020年4月18日 9時) (レス) id: 4eab459e35 (このIDを非表示/違反報告)
因幡 - 続き待ってます (2020年4月16日 21時) (レス) id: c0af763869 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：一条
| 作成日時：2020年4月16日 11時
