拾伍の話 ページ15
ぽつぽつと、雨粒が落ちる音がする。
雨が降り始めたらしい。
重たい瞼を開くと、目の前には幼い顔があって、あと数センチで唇がぶつかるところだった。
「うわっ、起きた！」
『…何してるんですか』
私は幼い子どもを叱るように、額に向かってデコピンを食らわす。
彼は面食らった様子で私を見た。
「何すんねん！」
『正当防衛です！てかここどこですか！』
場所を確かめる為に小さな彼を押しのけて、辺りを見渡す。
どうやら雨が降っているわけでは無いらしく、ここは小さな洞窟の中だった。
溜まった水がぽたぽたと落ちる音がそこら中から聞こえてくる。
明かりは窪みに設置されていて、暗くはない。
「ここは俺の住処…まあ、今住んでるとこってより、実家に近いな」
『実家…っていうか、君鬼だよね』
先程の小さな男の子は少し大きくなっていて…と言っても、令和の女性の平均身長くらいの私とそんな変わらない。
先程まで顔を覆っていた紙は少し横にずらされて、今は目も鼻も口も、そしてその角もよく見える。
「せやで、鬼や。まあでもそれは種族名で…名前はロボロ。ロボロって呼んでや」
『気が向いたらね』
「なんで！？」
『だって私拐われてるんでしょ？誘拐犯の言うこと聞きたくない』
私がそう吐き捨てると、なんでやぁ、と大きな桃色の目を揺らすロボロ。
なんでさっきより子どもっぽくなってんだ。
『…というか、なんで私を？エーミールさんに恨みでも？でも多分私誘拐したところで何も無いというか…あちらからしたら迷惑が居なくなって精々というか…』
「だから連れてくる時言うたやん！嫁になって、って」
少し照れた様子で斜め下を見るロボロ。
『嫁…ってなんのこと？』
「そのままの意味。俺なあ、婆様達なら早く嫁連れて来いって言われてて…でも正直鬼の嫁は気ぃ強いっていうか…強すぎるねん。でも江戸の女は変な髪型してて…そんなら、アンタがおった！」
『…それだけ？』
「それだけって…結構な理由やで？俺は髪ずーっと下ろしといて欲しいねん。やっても簡単に結うだけ。それに…A、可愛いし」
真下を向いて、手をモジモジとしながらそういうロボロ。
あまりにもいじらしくて鬼には見えない。
…でも鬼なんだ。
『妖って時空を超えられるんじゃないの？それで私の時代に行けば好きなだけ…』
「俺は行かれへんよ。妖の中でも行けるのは猫又…ショッピの種族くらい。だからアイツはそこまで強くないけど気に入られとるねん」
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にゃーちゃん - めちゃくちゃ好きです…!!マジで尊過ぎる…しかも推しの一人(htrn)出てきたってマジ？神回の予感しかしない…!!!更新頑張って下さい。楽しみにしてます！ (2023年5月3日 0時) (
レス) @page27 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
柚衣 - 続きがとても待ち遠しいです！妖パロめっちゃ好きなので、この作品を見つけることができて、よかったです。更新頑張ってください(^∇^) (2022年4月19日 18時) (レス) @page25 id: a954c39e8d (このIDを非表示/違反報告)
舞太郎 - 珍しい妖パロですねえこういうの雰囲気結構好きですねええ続きが楽しみだわ。神作品だねえ (2021年9月12日 14時) (レス) id: 6f46ea7e84 (このIDを非表示/違反報告)
トシinミルク - 続きが楽しみです！更新頑張ってください！ (2020年4月18日 9時) (レス) id: 4eab459e35 (このIDを非表示/違反報告)
因幡 - 続き待ってます (2020年4月16日 21時) (レス) id: c0af763869 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一条
| 作成日時：2020年4月16日 11時
