初恋 (ページ16)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:4,432 hit

・ページ16

待ちに待った木曜日。

「おはよう」

「おはよー」

「………」

「………」

会話が…ない。いつもなら喋り倒している時間なのに。

私も、臨も、ただ黙々と机に向かって数字と記号ばかり書いている。

計算出来てるけど、全然頭回ってない。
私の今の脳内メーカーは、臨の事だけ。

よりによって、図工の時間は１・２時間目。

必要もないのに絵の具セットを持って、足早にあそこへ行った。

「はあ…はあ…」

何をしてるんだ！なんでこんなに早く来た？まだ休み時間じゃないか。

あと５分…

あと４分……

あと…３分………

あと……２分…………

「あと…１分」

「A～」

「あっ」

「ったく…A早すぎ」

「えっああごめん…」

「もう折角一緒に行こうと…

「えっ!?」

　ん？」

「え、今なんて…？」

「あーなんでもないなんでもない」

「？」

今聞こえかけたぞ…

これは……これは……！

期待しても、いいのかな

「と、とりあえず、上行こうよ！」

「ああそそうだなっ」

上に行こうよって言われても……喋ることないしな
いや、元々ああやって提案したのは俺なんだけどさ。

「…………」

「…………」

ほら、また沈黙。

どうしよ

…と、俺が悩んでいたとき、

ｽﾄﾝ

「!?え？」

「Zzzz……」

「ええっ？ちょっとA？」

なんと俺の肩に頭を乗せて寝始めたのだった。

「////」

ちょっとどころか、かなり恥ずかしい。

でも、１時間目だぞ？早くないか？
昨日寝るのが遅かったのかなぁ…

なんとなしにその理由には見当がついている。

「どうせ勉強してたんだろ…？」

寝顔を覗く。

「…ふふっ」

なんとも可愛い。妹たちみたいだな。

俺は、かっこつけて、Aの左手をそっと握って、

思い切って、顔を寄せてみた。

……やばい、心臓破裂しそうなくらい可愛い。

そのまま、こっそり唇を重ねた。