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私が席の前に立つと、皇帝陛下が入場して来る。
私は頭を下げ、陛下がこちらへ来るのを待つ。
カツン…
陛下が私の前まで来た。
するといつも通り、私と陛下に会場にいる全員の視線が集まる。
『皇帝の太陽、皇帝陛下。本日はめでたいことに、陛下のお誕生日を無事迎えることができました。陛下、本当にお誕生日おめでとうございます。』
皇帝「うむ、ありがとう。おもてを上げよ。席に着くがいい。」
そこからは特に何も覚えていない。
ただつまらないパーティーで、陛下の誕生日を祝う者が並んでいる。
はぁ、まだまだいるのね。
「帝国の太陽、皇帝陛下。そして皇女様。ご機嫌麗しゅうございます。陛下、本日は誠にお誕生日おめでとうございます。本日は陛下にお楽しみいただけるようにプレゼントがございます。」
どこか聞き覚えのある声がした。
でも、あの人がここにいるわけない。
そう、ありえない。
皇帝「ほう…どのようなものだ?」
「はい、皇女様を陛下の目の前から消す、ということです。」
皇帝「は?Aを?どういうことだ。」
私を、消す?どういうこと?
まずまず、皇女を消すなんて、貴族としてどうなのかしら。
「はい、皇女様をこの俺__うらたぬきが奪う、ということです。」
うらたぬき、と名乗った彼は自分の着ていた服を破った。
彼は真っ白なワイシャツに緑のリボンを胸元に付け、その上に真っ黒な上着、真っ黒なズボン、それだけでなく、真っ白な翼を広げていた。
私は目を大きく見開いた。
翼がある、確かにそこには驚く。
でも、そこじゃない。私が驚いているのは。
『うら、た…?』
う「ご要望通り、お迎えに参りました。皇女様____いや、A」
彼はそう言い、私の手を取り、手の甲に唇を落とした。
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作者名:いちごだいふく | 作成日時:2019年2月17日 8時