･ ページ20
･
｢っ…陛下、彼は…っ｣
Aが、焦っている。
Aの目、声には恐怖と不安が入り交じっている。
｢わた、くしの、大切な人、です。｣
皇帝｢ほう…俺より、か？｣
｢いえっ、どちらも、同じくらいです、！｣
同じ、くらい？
実の、父親と同じくらい、俺が大切？
今、こんな状況で喜ぶなんておかしいって分かってる。でも、それほどまで俺は大切なんだ、と知った喜びは抑えられない。
だが、皇帝の目には怒りと嫉妬が表れている。
俺に、対してだ。
きっと、こんな冷たい態度しかとれなくても、Aを溺愛しているのだろう。
嫌いだったら、今その腕にAを抱いていないだろう。
皇帝｢…まぁ良い、コイツの命はもうないも同然。｣
｢！殺すというのですか？！私の、大切な…ゆ、うじんを…！！｣
皇帝｢友人であろうとなんだろうとまずこの城の塔に侵入すること自体許されるわけがない。そして…お前、どうやってこの塔へ侵入した？｣
どうやって、そんなの飛んできたに決まっている。だが、そんなこと、言えるわけない。
｢…私が、教えました…侵入経路を…。｣
確かに俺は教えてもらった。
一度も使ったことはないけど。
皇帝｢フッ、お前もその経路を知っているとはな、まぁ、賢いだけある。｣
執事｢この者の処分はいかがなさいますか？｣
｢いやっ、待って！殺さないで！！｣
Aが、嫌がっている、怖がっている、泣いて、いる。
『Aが、嫌がっている。離せ。』
執事｢なっ！！お前！！陛下になんて口の利き方をしている！！！！｣
『うるせェ、相手が誰であろうとAが嫌がることをするヤツは俺の敵なんだよ。』
｢うらた…｣
皇帝は俺達の関係を勘違いしたのだろうか、Aを執事やメイドに任せ、俺に怒りの眼差しを向けてきた。
皇帝｢…Aが悲しむ顔は見たくない、だから今回だけは見逃してやる。次はないと思え。｣
俺は執事サンに連れられ、城の外へと追い出された。
しばらくは、Aには会えない。
でも、Aはこう言っていた。
――お願い、助けて。私を連れ出して――
なら俺は、Aを連れ出してやる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いちごだいふく | 作成日時：2019年2月17日 8時
