その九 ページ10
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「じゃあ、俺はそろそろ怪しまれるだろうから帰る」
『あ、じゃあ雛妃に「お前絶対後で後悔するからな」って伝えてください』
「分かった」
末広さんは親指を立てて、髪を揺らしてダッシュで帰っていった。流石に壊しては行かなかったようだ。いや壊してったら経費で落とさせるけど。
嵐のような人だったなぁ。
「さて……Aさん、貴方は雛妃さんの異能力と過去の経歴を知っていますね?」
『あー…何でそう思ったんですか?』
苦い顔をしてにっこにこの条野さんに向き直る。
そう。彼の言う通り私は彼女の異能力と過去の経歴を知っている。あらすじで語った古い記憶とは、このことである。
え?笹団子の件じゃないのかって?…まあそんなことは置いておいて笹団子食べてみな!美味しいから!!
「アナタに対しての敵意だけ年季が入ってましたし、何かしら関わりがないと態々貴方みたいにめんどくさい人を敵に回すことはしないでしょうから」
『年季の入った敵意ってなんですか!?』
敵意にも年季ってにじみ出るんだねぇ…。
しみじみとしてしまう。今日の夜ご飯は貝の味噌汁にしよう。なんだっけ、えっと…しじみだ。
「はぐらかさないで答えてください」
『えぇ…私も思い出したくないんですよ…。なので小出しでいいですか?』
「まあ、猶予は一週間でどうでしょう」
『慈悲とは』
思い出したくないものを一週間以内に全部話すって相当だよ?私ちゃんと普通の人間だよね?え、これで人間じゃないとか言われたら泣くんだけど。
『じゃあまず、雛妃の過去の経歴についてです。小出しなので今回は、彼女はもともと私の義姉だったという情報だけお出ししますね』
本当に数年の話だし、二十数年前の話だから詳細までは覚えてないけど、あの年齢でここまで覚えてるってことはもうトラウマ化してて全私が笑った。
「は!?あれと!?Aさんが!?義姉妹!?」
『条野さんキャラ』
「失礼。ですが、本当に義姉妹なんです?」
『ええ。三歳くらいだったかのときに別れましたけどね。ところで夜ご飯食べていきますよね、雑炊でいいですか?』
流れるように話を逸らす。
条野さんも何かしら察してくれたようで、これ以上は何も言わなかった。ありがとうございます条野さん!!初めて感謝した気がするけど!!
「本ッ当想像の斜め上の回答出してきますよね」
『ありがとうございます』
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柏よもぎ(プロフ) - らい。さん» ありがとうございます・・・!頑張ります!! (2023年2月1日 16時) (レス) id: 541650209c (このIDを非表示/違反報告)
らい。(プロフ) - 初コメ失礼します!なんだよ大好きだよ😊ってなったので一気読みしました!更新、無理せずしていって下さると私が嬉しいです…! (2023年1月31日 17時) (レス) id: 00760fb87f (このIDを非表示/違反報告)
柏よもぎ(プロフ) - ライスカレーさん» 有難うございます・・・!!もっと面白いと思っていただけるようがんばります…! (2023年1月23日 21時) (レス) id: ef6ed653d3 (このIDを非表示/違反報告)
ライスカレー(プロフ) - コメント失礼します!!この作品面白すぎて今出てる分一気読みしちゃいました!更新楽しみにしてます(*´ω`*) (2023年1月22日 23時) (レス) @page13 id: 99fa8549ca (このIDを非表示/違反報告)
柏よもぎ(プロフ) - つゆこさん» ありがとうございますつゆこ様…!!頑張っていきます…!! (2023年1月22日 8時) (レス) id: ef6ed653d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柏よもぎ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/ichigo15ca1/
作成日時:2022年7月30日 10時