ghost.7 ページ7
「ころんくん!おはよー!」
……夢じゃなかった。
朝起きてすぐ、もしかしたら昨日の出来事は全部夢だったんじゃないかと考えた僕は、その僅かな望みに賭けてリビングへ行った。
が、まぁ当然のようにAが居た。
しかもしっかりくつろいでるよ…。
「おはよう。朝から元気だね」
「幽霊に昼夜は関係ないし、睡眠欲もないからね」
「うん、そうだね…」
同居人は朝から元気すぎるくらい元気だった。
さぁ、今日もAのお願い叶えていきますか…。
しかし僕はここでそれどころじゃないことに気が付いた。
荷ほどきが終わってない!部屋が段ボールだらけ!
昨日は怒濤の一日でとても片付けどころじゃなかったけど、今日は急ピッチで片付けをしないと…。
このままじゃ配信やゲーム実況だって出来ない。
「ちょっとごめん。
僕今から片付けするから、
今日は何も手伝ってあげられないかも」
「あー、お引っ越しの荷物そのままだもんね」
「そー。だから荷ほどきしないと。
せめて仕事道具だけでも出して設置しちゃいたいし」
「手伝おうか?」
「え?」
「ほら私、物を動かせるし」
……なるほど。それは盲点だった。
確かに重い物とか運んでもらった方が、時間的にも体力的にも圧倒的に楽だ。
「じゃ、お言葉に甘えて」
「任せて!」
.
片付けの最中、ふとAが
「ころんくんって何のお仕事してるの?」
と訊いてきた。
僕が機材を設置するときに「それは仕事道具だから慎重に扱って」と言ったからだろう。
「うーん。ネットで色んな活動してる」
「ネットで活動?例えばどんな?」
「ゲームの実況動画を出したり、
歌ったり、配信したりとか…。
まぁとにかく色んなことしてる」
「YouTuber?」
「あーうん、そんな感じ」
僕がそう言うと、Aは感心したように「最近はネットでお仕事する人増えてるんだなぁ」と言っていた。
そういう職種に対してあんまり悪いイメージとか抵抗が無さそうで少しホッする。
「それで防音部屋があるここに引っ越してきたんだね」
「そう。仕事するうえで防音はかかせないから。
Aは?なんか防音が必要だったの?」
僕が訊ねると、Aの表情が少し暗くなった。
あれ、もしかして訊いちゃまずかったやつ…?
「……ピアノ」
「え?」
「ピアノ、やってたから」。
そう言ってAは、少し悲しそうに微笑んだ。
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ましゅ☆まろ。紫月まろ。(プロフ) - とっても面白かったです!今更ながらですが、完結おめでとうございます! (7月24日 12時) (レス) @page50 id: df7b4f216a (このIDを非表示/違反報告)
葉琥(プロフ) - 完結おめでとうございます。信じてもらえないかもしれませんが自分も一回幽体離脱したことがあって、その時、夢主ちゃんと同じような体験があってこんな偶然あるんだな〜っと思いながら読んでましたw (2020年9月5日 23時) (レス) id: b0d47f7052 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - 完結?おめでとうございます!!さとみくんが出てきた所で一人でずっとつぼってましたwお話面白い部分もあり、切ない部分もあり、すごく面白かったです!ありがとうございました! (2020年3月29日 0時) (レス) id: d37bac9867 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - お疲れ様でした!!すごく面白かったです!! (2020年3月28日 17時) (レス) id: e38bb1f61d (このIDを非表示/違反報告)
詩織-siori‐ - すごくおもしろかったです。意外性のある作品だったので先が読めなくてすごく楽しかったです。 (2020年3月28日 15時) (レス) id: 2a36034942 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2020年2月28日 18時