ghost.48 ページ48
Aが消えて、病室の中は一気に静かになった。
ベッドの横に置いてある椅子に腰掛けて、Aの顔を見る。
その瞬間、涙がつーっと頬を伝った。
Aが生きる選択をしてくれて本当に良かった。
そう思っているはずなのに、いざAが消えると、Aと過ごした日々が走馬燈のように甦ってきて。
「寂しい」なんて、思ってしまう。
眠ってるとはいえ目の前にAがいるのに、泣いちゃダメじゃん。
そう思っていても、涙は際限なく流れてきた。
……Aが少しでも早く目を覚ましますように。
そう願いを込めて、Aの手をぎゅっと握る。
すると、Aの手がピクッと動いた。
「えっ」
え、今、動いた…？
いやいやさすがに気のせいだ。
こんなに早く目が覚めることはありえないだろう。
Aの顔を覗き込んだが、相変わらず眠ったまま……
………え？？？
Aの目が、ゆっくりと開いた。
そしてパチパチと瞬きをする。
僕もその光景に唖然として、思わず瞬きをした。
「……A？」
恐る恐る名前を呼ぶと、Aは顔だけこちらに動かして「こ、ろん…くん……」と言った。
マジか。
なんとわずか数分で意識が戻った。
ゆっくりと起き上がろうとするAの身体を、慌てて支える。
「……私、生きてる。
ちゃんと自分の身体に戻ってる…。
ころんくん…！！やった……！！」
「A……！！」
考えるより先に、Aのことを抱きしめていた。
すり抜けない、ちゃんと触れる。
その事実に、僕はまた涙が溢れたきた。
Aはここにいる。
もう幽霊じゃない。生きてる。
柊 Aという人間が、僕の目の前に存在している。
「……ころんくん、泣いてる？」
「ないてない…」
自分の出した声はずいぶん弱々しくて、嘘を吐いているのがバレバレだった。
もうなんでもいいや、という気持ちでAの肩に顔を埋めた。
そんな僕の背中を、Aがポンポンと優しく叩く。
「ころんくん、心配かけてごめんね。
私はここにいるよ。だから笑って？」
「……うん、もう泣かない」
僕が微笑むと、Aも笑い返してくれた。
あの元気いっぱいの明るい笑顔。
僕が大好きな笑顔だ。
「おかえり、A」
「ただいま、ころんくん」
その日、僕は初めてAに「おかえり」を言った。
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ましゅ☆まろ。紫月まろ。(プロフ) - とっても面白かったです！今更ながらですが、完結おめでとうございます！ (7月24日 12時) (
レス) @page50 id: df7b4f216a (このIDを非表示/違反報告)
葉琥(プロフ) - 完結おめでとうございます。信じてもらえないかもしれませんが自分も一回幽体離脱したことがあって、その時、夢主ちゃんと同じような体験があってこんな偶然あるんだな〜っと思いながら読んでましたｗ (2020年9月5日 23時) (レス) id: b0d47f7052 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - 完結？おめでとうございます！！さとみくんが出てきた所で一人でずっとつぼってましたwお話面白い部分もあり、切ない部分もあり、すごく面白かったです！ありがとうございました！ (2020年3月29日 0時) (レス) id: d37bac9867 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - お疲れ様でした！！すごく面白かったです！！ (2020年3月28日 17時) (レス) id: e38bb1f61d (このIDを非表示/違反報告)
詩織-siori‐ - すごくおもしろかったです。意外性のある作品だったので先が読めなくてすごく楽しかったです。 (2020年3月28日 15時) (レス) id: 2a36034942 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2020年2月28日 18時
