ghost.45 ページ45
「…………えっ、」
「Aが好きです」
ころんくんの言葉に、私は思わず固まった。
え、今、「好き」って、言った、よね……？
ころんくんが、私のことを、好き……。
「えっ……と、」
「……い、今はまだ返事しないで！
とりあえず、最後まで聞いて欲しい」
「は、はい…」
徐々に熱くなっていく自分の顔に「赤くならいで」と念を送りながら、私はまたころんくんの話に集中した。
「その『やりたいことリスト』だけど…。
そこに書いてあることの他にも、やりたいことが沢山ある。
全部全部、Aとじゃないと叶えられない。
ねぇA、僕にはAが必要だよ。
だからもう自分のこと、無価値だなんて言わないで。
僕はピアノを弾くAを知らない。
いつも元気で明るくて、笑顔が可愛くて、いっぱい食べて、
どんなときも僕に優しく接してくれるAしか知らない。
僕はそんなAが好きだよ。
ピアノが弾けなくたって、Aは十分魅力的な人間。
僕、Aのことが好き。僕にはAが必要です。
＿＿＿だからお願い。僕と生きてください」
「こ、ろん、く……」
堪えていた涙が、ボロボロと一気に零れ始めた。
ころんくんはそんな私を、優しい笑顔で見つめている。
「あなたが必要です」なんて、生まれて初めて言われた。
そしてこれはきっと、私が誰かから言われることをずっと望んでいた言葉だ。
ピアノが弾けなくなった私を必要としてくれる人なんていない、親ですらそんな私を受け入れてくれない。
私にはもう生きてる価値なんて無い。そう思っていた。
でももしかしたら、その認識は間違っていたのかもしれない。
少なくともころんくんは、こんな私を必要だと、好きだと言ってくれた。
このやりたいことリストも、「私とじゃないと叶えられない」と言ってくれた。
「……私、ピアノが弾けなくてもいいのかな」
ぽつりと呟くと、ころんくんは「いいよ。ピアノはAのすべてじゃない」と言った。
その一言で、なんだか心がすっと軽くなった。
私はずっと、ピアノ以外に自分を表現する方法が分からなくて、あたかもピアノが私のすべてであるかのように生きてきた。
"ピアノが弾ける自分"に縋っていたのは、他の誰でもない、私自身だ。
自分で自分の首を絞めていたことに、今になってようやく気が付いた。
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ましゅ☆まろ。紫月まろ。(プロフ) - とっても面白かったです！今更ながらですが、完結おめでとうございます！ (7月24日 12時) (
レス) @page50 id: df7b4f216a (このIDを非表示/違反報告)
葉琥(プロフ) - 完結おめでとうございます。信じてもらえないかもしれませんが自分も一回幽体離脱したことがあって、その時、夢主ちゃんと同じような体験があってこんな偶然あるんだな〜っと思いながら読んでましたｗ (2020年9月5日 23時) (レス) id: b0d47f7052 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - 完結？おめでとうございます！！さとみくんが出てきた所で一人でずっとつぼってましたwお話面白い部分もあり、切ない部分もあり、すごく面白かったです！ありがとうございました！ (2020年3月29日 0時) (レス) id: d37bac9867 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - お疲れ様でした！！すごく面白かったです！！ (2020年3月28日 17時) (レス) id: e38bb1f61d (このIDを非表示/違反報告)
詩織-siori‐ - すごくおもしろかったです。意外性のある作品だったので先が読めなくてすごく楽しかったです。 (2020年3月28日 15時) (レス) id: 2a36034942 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2020年2月28日 18時
