同居人はユーレイです。【青】

ghost.4 ページ4

それから僕はAに色んなことを訊いた。



Aは21歳の女の子で、半年前に交通事故に遭って亡くなった。

この家は半年前までAが住んでたらしいけど、
つい二ヶ月前に両親が解約して空き部屋になったそう。

ちなみに交通事故だから正しくは地縛霊ではないけど、何故かこの部屋から出られないからまぁおなじようなもん、らしい。


それにしても大学生でこんな広い部屋が借りられるって、Aの家は相当お金持ちに違いない…。





「他に何か訊きたいことある？」

「ある。僕は何を手伝ったらいいの」

「あ！そうだった！えっとねー」



Aは後ろを振り返って、宙に向かって人差し指を突き立てた。

すると突然、どこからか一枚のメモ用紙がふわふわと飛んできた。



飛んできた。



……！？



「え、紙が、飛んで、えっ！？」

「あー、そういえば言ってなかったね。
　私、物を自由に動かすことが出来るんだ〜。
　と言っても、生き物はさすがに動かせないんだけど」

「念動力的な…？」

「そんな感じ！」



幽霊ってなんでもアリだな…。

ポルターガイスト現象はこうして起こるのかもしれない…。




ひとまず僕は飛んできたメモを見ることにした。


えーと、何々…？「やり残したことリスト」…？


「○○」という映画を観る、巨大パフェを食べる、

動物を思いっきりもふもふする、一人でラーメン屋に行く、

○○堂の一日30個限定イチゴ大福を食べる……。



「ナニコレ」

「やり残したことリスト」

「いやそれは見れば分かる。
　この欲望の塊みたいなものは何かって訊いてんの」

「みたいなもの、じゃなくて欲望の塊だけど…」

「開き直るんだ…」



リストには他にも○○をお腹いっぱい食べたい！とか、

あのドラマが見たい！とか、あのゲームがしたい！とか、

それはもう簡単なお願いごとがずらーっと書いてあった。

しかし食べる系多いな…。



「あのね、私考えたんだけど、現世で何かやり残したことがあって、自分でも気付かないうちに後悔してるから成仏出来ないのかなって。」

「なるほどね。
　んで、それを消化するのを手伝って欲しいと」

「そういうこと！」



確かに、幽霊はこの世に何か後悔や心残りがあるから成仏出来ない、みたいな話は聞いたことがある。

とりあえず自分が生前やり残したことを手当たり次第にやってみるっていうAの考えも、すごく良いと思う。



でも、これを叶えるのは無理だ。
　

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