同居人はユーレイです。【青】

ghost.3 ページ3

なんとこの家、いわくつきだった…。

引っ越そう。こんなところ住んでられない。

せっかく好条件な家を見つけたと思ったのになぁ…。



「えっ、ちょ、待って待って！」

「…何」

「お願いがあるの！それを聞いて欲しくて！」

「なんで僕が君のお願い聞かなきゃいけないわけ！？」



こっちは新居生活一日目にしてトラブルに見舞われ、早くも次の引っ越し先を探さなくちゃならないというのに。

見ず知らずの幽霊のお手伝い？冗談じゃない。




「そこをなんとか！お願いします！
　成仏のお手伝いをしてほしくて…！」




"成仏"。

そのワードに僕は思わず反応した。



「……成仏？
　お願いを聞いたら成仏してくれるわけ？」

「あくまで成仏する方法を試してみるだけだから、
　それでほんとに成仏できるとは言い切れないけど…」



成仏か…。


ここで僕がその成仏のお手伝いとやらをして、この子がそれで成仏出来たとしたら、僕は心置きなくこの家で暮らせることになる。

そしてこの子自身も成仏することを望んでいる。

つまりWin-Winってことか。



お願いを無視して引っ越すか、

成仏の手伝いをしながらここで暮らすか。


二つを天秤にかけて考えたが、答えはすぐに出た。




「…分かった。手伝うよ」

「ホント！？やったー！ありがとう！」



引っ越すか、ここで幽霊と同居するか。

どちらかひとつを選べと言われたら圧倒的に後者だ。

僕はこの新居をとても気に入っているし、何より引っ越し代がバカにならない。


無事に成仏してもらえれば僕は静かに暮らせるし、それまでの辛抱だと思えば…。



お願いの内容は分からないけど、そんなにむごいものではないはず…。

出来る限りのことはやって、平穏な生活を手に入れよう。




「ほんとにありがとう！
　私の名前はAです！よろしくね！」

「僕はころん。
　短い間(であって欲しい)だけど、よろしく」
　
　

ghost.4→←ghost.2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す