ghost.29 ページ29
「あと二つ、か…」
私は思わず溜息を吐いた。
やり残したことリストにはたくさんのバツ印が付いている。
あんなにあった「やり残したこと」も、もう残すところあと二つだ。
ころんくんがこの家に引っ越して来てから、早くも一ヶ月が経過した。
最初は嫌がってたころんくんとも、今ではだいぶ仲良しだ。
長いようで短い一ヶ月だったなぁ…。
私は、このリストを消化することさえ出来れば、もうこの世に何の未練も残らないと思っていた。
いや、きっとそうなるはずだった。
…………あんな光景さえ見なければ。
ころんくんには咄嗟に「お昼寝してた」なんて嘘を吐いちゃったけど…。
行くんじゃなかった、あんな場所。
……それだけじゃない。
私、ころんくんとお別れしたくないって思ってる。
せっかくころんくんが必死で私のお願いを叶えてくれてるのに、これじゃ元も子もない。
ころんくん、私ね、今、毎日が本当に楽しいの。
楽しすぎてこの毎日がずっと続けばいいのにって思っちゃうくらい。
そんなの無理だって分かってるんだけど。
でも、本当に楽しくて。
……ねぇ、ころんくんはどう思う?
.
今日、僕は、久しぶりに大学時代の友達とご飯を食べに来ていた。
今年は本当に忙しくて、友達に会うのはもう半年ぶりくらいだ。
僕はもう大学を辞めちゃったけど、友達は今も大学に通っていて、そっちもそっちで多忙そう。
そういえば、最後に会ったときに「Aちゃんがずっと大学に来てない」って話を聞いたんだっけな…。
「そういえばさ−、
"柊さん"って覚えてる?」
「柊さん」。
そのワードに僕は思わずビクッと反応した。
ビックリした…。ちょうどAちゃんのことを考えてるときにこの話題を振られるとは……。
覚えてるどころか、つい数日前に一緒に遊びました。
……とは口が裂けても言えない。
「もちろん、覚えてるよ」
「前にさ、全然大学に来てないって話したじゃん?
その理由がこの前分かってさー。これがもう衝撃で」
ついに亡くなってることが広まったんだ…。
Aちゃんは自分が死んだことを生前の知り合いにあんまり知られたくなさそうだったけど、どこから情報が漏れたんだろう…。
教授が公表でもしたんだろうか…。
とりあえず、僕は知らないふりをしないと…。
「へ、へー…。
理由ってなんだったの?」
「それがさぁ、_______」
「…………え?」
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ましゅ☆まろ。紫月まろ。(プロフ) - とっても面白かったです!今更ながらですが、完結おめでとうございます! (7月24日 12時) (レス) @page50 id: df7b4f216a (このIDを非表示/違反報告)
葉琥(プロフ) - 完結おめでとうございます。信じてもらえないかもしれませんが自分も一回幽体離脱したことがあって、その時、夢主ちゃんと同じような体験があってこんな偶然あるんだな〜っと思いながら読んでましたw (2020年9月5日 23時) (レス) id: b0d47f7052 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - 完結?おめでとうございます!!さとみくんが出てきた所で一人でずっとつぼってましたwお話面白い部分もあり、切ない部分もあり、すごく面白かったです!ありがとうございました! (2020年3月29日 0時) (レス) id: d37bac9867 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - お疲れ様でした!!すごく面白かったです!! (2020年3月28日 17時) (レス) id: e38bb1f61d (このIDを非表示/違反報告)
詩織-siori‐ - すごくおもしろかったです。意外性のある作品だったので先が読めなくてすごく楽しかったです。 (2020年3月28日 15時) (レス) id: 2a36034942 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2020年2月28日 18時