同居人はユーレイです。【青】

ghost.34 ページ34

最後の「やり残したこと」を消化してから早一週間。


もうAは成仏して、僕は一人暮らしの生活に戻っている。



……と、予想していたのだが。


なんとA、成仏してません…！！




ゲームをした次の日の朝、ドキドキしながらリビングへ行くと、いつものようにAがそこに居て「おはよう！」と挨拶をしてくれて、僕は少し安心した。


Aには申し訳ないけど、僕はAのことが好きだから、本音を言うと成仏して欲しくない。

だからAが当たり前のようにそこにいることが嬉しかった。



そのまた次の日の朝も、Aはリビングに居た。

僕は「朝起きたらAが居なくなってたらどうしよう」という不安でなかなか眠れなかったので、起きて一番にリビングに行ってAの姿を見たときは、心底ホッとした。



そして、三日、四日、五日経ってもAはそのままで。


三日目くらいまでは、まぁそんなすぐに成仏出来ないもんなのかな、くらいに思っていた。

しかしさすがに五日目になってくると、「さすがにこれはおかしいんじゃ…？」と思い始めるわけで。




そして今日、七日目。

今朝もやっぱりAは成仏していなかった。



「なんでだろう…。
　A何か心当たりある？」

「さぁ…わかんないや……」

「そっか…」




Aはここ数日、元気が無い。


ふとした瞬間に疲れた顔をしているし、雰囲気もどことなく暗い。

そして何か大きな悩みを抱えているようだ。

もちろん、成仏出来ないことが一番の悩みではあるだろうけど、それ以外にも何か悩みの種がある。

ここ二週間くらいボーッとしてることが多かったのも、きっとそれが原因だろう。



Aはきっと、成仏出来なくて困り果てている。

でも気を遣っているのか、僕の前ではいつも笑顔を絶やさない。

僕はそんなAを見るのが心苦しかった。




困ってるAの力になりたい。

Aを助けたい。成仏させてあげたい。

自分に出来ることはないか。


そう思った僕は、手始めにAが成仏出来ない理由を考えるところから始めた。


が、まぁ当然のように何も浮かばず。

何かまだ未練があるならAは自覚があるだろうし、Aも分からない何かを僕が探るのは難しすぎる。

僕の発想力では限界があるし、そもそも僕はAのことをあまり知らない。



そう、僕はAに関する情報を、何も持っていないのだ。
　

ghost.35→←ghost.33

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す