【ONEPIECE】悪運も実力のうち。 (ページ5)

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005 - 緊急事態ページ5

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億単位ものお金があれば軽く十数年は遊んで暮らせそう。そんな気が遠くなりそうな莫大な数字に、生涯のうちで会うことがありませんようにと祈りを込めた。

コビーの熱弁をヘルメッポと一緒に右から左へ流しつつ、私は思考を巡らせていた。

空席が生まれたとあれば、近いうちに七武海の招集がかかることになる。彼らには知名度と強さによって他の海賊の抑止力となる役目があるのだから、穴埋めが急がれるのは当然だ。
そしてその日取りは、食事を振る舞う給仕役と、それに同席する一部の幹部連中にしか知らされない。これは憶測の範疇を出ないが、私はこの理由を、海賊女帝がいるからだと踏んでいる。世界一の美女と評されるその美貌をひと目見ようと、業務を疎かにするような輩が出てきてはたまったものではない。それに、大の男嫌いだとされている彼女の機嫌を損ねないためにも、極力のトラブルを回避する意味では英断と言えるのである。

いつになるかもわからない、誰が参加するかもわからないこの会合が終わるまでは、周囲にうまいこと掛け合って遠方での仕事をねじ込んでもらうしかなさそうだ。
ついでに上手いこと理由をこじつけて、午後からのリハビリもサボることにしよう。そうしよう。

ヘルメッポからのもうひとつの差し入れであった不恰好なリンゴを咀嚼する。水気が切れていないせいで薄味なそれを舌に遊ばせつつ、サボりの言い訳になりそうなものを頭の中で箇条書きにしていった。

さて、この世界におわす神は、そんな私の脳内を覗き見でもしたのだろうか。
私はこのとき、訓練時以外で警報器が鳴っているのを初めて聞いた。

　全兵へ告ぐ！手の空いている者は総動員せよ！
　海軍基地内に火拳のエースが現れた！
　海兵に扮して潜入していた模様！至急捕縛せよ！

「火拳のエースだぁ！？なんでまたこんなところに、海軍基地だぞ！？」

「ぼくたちも行きましょうヘルメッポさん！Aさんはここで安静にしていてください！」

滅多にない非常事態に、2人はもつれ合いながら救護室から出て行き、ほかの兵士たちの雑踏に紛れていった。

あまりにも急な出来事すぎたがゆえに、新聞を掴んだまま飛び出していってしまったのだと思うと、どこまでも癒される同期たちに思わず口元が緩んでしまう。同期とはいえ、雑用歴の長かった彼らのほうが数週間ほど先輩ではあるのだが。

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