【ONEPIECE】悪運も実力のうち。 (ページ4)

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004 - 見舞いページ4

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それにそもそもの話、周囲が心配するほど私はそこまでメンタルを病んではいなかった。
仮眠のつもりで爆睡をかましていたおかげで、ドフラミンゴ本人が接触してくるまでは、あたり一面が死体の山と血の海みたいな、惨状らしい惨状を目の当たりにせずに済んでいたのである。
むしろそのことを報告したときのサカズキ大将の顔のほうがトラウマになりそうまであった。眉間に刻まれた皺が1、2、3、4、5…。
センゴク元帥にはどのような些細なことでも良いから伝えるよう促されたが、私の貞操に危機が迫っていたことについてだけはうまく言葉にできなかった。

全てを暴こうとするあの鋭い眼光が思い出されて、条件反射的に身震いする。

「この部屋冷えますか？温かい飲み物でも」

『…ううん、大丈夫。ありがとう』

一度は瀕死まで追い込んだ女を、ご丁寧に傷を塞いだ上で基地まで連れてくるような男だ。彼の興味が失せるまで、つまるところ私の歪んだ面を拝むまでは命を奪うつもりはないのだろう。
こんなこと、誰にも言えるわけがない。

いつまでも俯いたままの私の様子を見兼ねたのか、ベッドのスプリングが嫌な音を立てて軋む。そして、膝の上でゆるく握っていた手に、温かくて優しいものが添えられた。それは自分よりもひとまわりほど大きいコビーの手だった。
隣に腰を下ろしたコビーをちらりと盗み見ると、柄にもないことをしたとでも思ったのか、みるみるうちに頬を染めてしまった。その姿は、私と同い年の男性と思えないほど可愛らしい。

「お〜いA、このヘルメッポ様が見舞いに来てやったぜ〜…おっと、邪魔したか？」

『おはようヘルメッポ、邪魔してないよ。その新聞は今日の朝刊？』

「ああそうだ。ほら、見てみろよコビー！麦わらがついに、1億の王台に乗ったみたいだぜ」

「えっ、ルフィさんが！？」

コビーの面持ちがあからさまに明るくなった。海軍が海賊に向ける眼差しとは思えない、少年のような瞳をキラキラと輝かせている。
このテンションの上がりようからしても、かなり熱を上げて推していることが窺える。アイドルか何かか、と突っ込みたい気持ちをグッと堪えた。

なんでも、砂漠の王国アラバスタを拠点に猛威を奮っていた七武海の一角、サー・クロコダイルを落としたのだそう。そう聞くとこの金額は妥当な数字のようだが、アベレージ300万と言われる東の海(イーストブルー)の海賊がここまで名を挙げるのは珍しい。

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