【ONEPIECE】悪運も実力のうち。 (ページ15)

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015 - シャーデンフロイデページ15

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宙を浮いた男の足が目の前でジタバタと動かされる。泡を吹いて喘いでいるのが聞こえる。
流れの強い水の中を溺れているような挙動。意識的に呼吸をしなければ、こちらまで息を奪われそうな錯覚を起こした。

「人の夢をさんざん笑った挙句、負けた腹いせに今度は女をやろうってか？どこまでも腐った野郎だなテメェは！」

物体が重力を無視する。鋼鉄でできた左腕が、轟と空気を振動させる。

「来世から出直しな」

"キッド"によって迎えられた男の末路。私にはそれを見届ける勇気はなく、視線を落とした先で服の裾が斑々と色を変えていた。

ざり。潮と白砂の湿った匂いが立つ。重荷に耐えるためにはいささか細過ぎるようにも見える、そんな足首がこちらを向いた。

私は脱兎の如く駆け出した。

茹だる暑さに体の端っこから溶けていきたい。このまま行方不明になって、ここで出会った全員の記憶からも消えてなくなりたいような気分になった。
私のあとに誰かの足音が続くことはなかった。それでも、腐敗した鯨の死骸に姿が隠されるまでは、細くて鋭い目が自分の上に降り注がれているのを感じていた。

戦えるつもりだったのに、逃げ足だけが達者になっていく。弱いなあ、私。

…

「お！やっと会えたな、無事だったか！」

複数の男がぐったりと俯伏して、半数ほどはストライカーと一緒に海水に浸っている。それはまるで焼死体のように…ように？満遍なく黒くなって焦げた臭いを発していた。死体なんて探りたくないから不確定のままにしておこう。と思っていた矢先、しばらく眺めるうちに指やら足やらが動くので、ちゃんと生かしたままにしてあると気がついた。そのうちのひとりにケバブ屋の店主もいるらしい。
エースが満面の笑みなのに対し、私の笑顔は若干引き攣っていたと思う。

「そうだ聞いてくれ！露店街でこそトラブルにはなったが、コイツら話したら意外と分かる奴らでよ。おれが欲しかった情報も吐いたし、大量の食いモンも持たせてくれることになったんだ」

そうか、聞いてほしいことなら私にも山ほどあるぞ。まず私は無事ではない。そしてその人たちはあなたが無理やり"分からせた奴ら"ではないのか。
ここまでの会話は完全に一方通行のドッジボールで、胸ぐらを掴まれた男が「もう許してください」と細々声を漏らしているのもまるで意に介さない。本当に話を聞かないなこの人。

呆れて物を言えずにいると、「あとは」とさらに付け加えて投球した。

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