93貴方side 過去編 ページ43
ガサガサと坂道をのぼり、
目的の場所を探す。
『…ここどこ…』
初めて来た場所で道に迷ってしまう…。
ここら辺にいつも居ると聞いたのだが、
全く人気がなく、ただただ歩き疲れた。
ポツポツと冷たい感触が落ちる。
『雨…降っちゃった』
傘も持ってなかった私は、
小走りで雨宿りできる場所を探す。
少し行ったところに寺風の建物があってそこに座り込む。
『少し…雨宿りさせてくださいね、』
誰も聞いてないのに建物に声をかける、
濡れた髪の毛を手でとく。
濡れたせいか少し寒くなってきた、
『…くっしゅんっ』
あ〜風邪ひくかな…龍也さん怒るだろうなぁ…
と体を丸めながら雨が止むのを待つ。
?「…誰だテメェ」
後ろから声が聞こえて振り向くと、やる気のなさそうな青年が立っていた。
?「お前その服、ムゲンだろ…テメェ何しに来たんだ」
今にも掴みかかって来そうなこの人を私はただ黙って見つめる。
『貴方が…日向一家の弟？』
日「あぁ"？」
『貴方に謝りに来たの、』
何言ってんだコイツみたいな顔をされる。
日「殺してやろうか、お前」
『私ね、一応ムゲンの頭なの…でも私が殴られたせいで……止められなくてごめんなさい…』
泣いてはダメ、分かっていたけどなんかもう感情がぐちゃぐちゃで…日向の顔も見れなくなってしまった。
立ち上がった日向は、
タオルを持って私の頭に落とす。
日「風邪ひく」
『？』
日「お前の事は、許してやるだけど、俺は絶対お前達に復讐する」
『させないって言ったら？』
日「力ずくでも倒す。でも…お前は気に入った名前は？」
優しい目に変わった日向を見つめ、
『A』っと答えると
日向の顔が近くなりチュッとリップ音が聞こえた冷めきっていた体が暖かくなる。
日「…いつでも来い」
日向はスタスタとどこかに行った。
『あっ…雨上がった』
それから私と日向は日に日に会うようになった。
MUGENの倉庫に行くより、楽しかった。
次々知らない仲間が増えるMUGENに私は何処かでここから出たいと思うようになってしまっていた。
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作者名：いち | 作成日時：2017年10月15日 23時
