人奇病棟 (ページ26)

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No.25 ページ26

鈴音side

やっ…てしまったぁ～。

パタパタと走り去っていく足音に我に返る。

もう怖がらせないように、我慢しようと思ってたのに、あぁああ…。

けど！アレは椿も悪いでしょ！

あんなの、誘ってるのと変わんないじゃん。

…いや、変わんないんじゃなくて誘ってるんだ絶対そうだ。

すっかり昂ぶってしまった己を見下ろす。

『ど～しよ、これ…。』

どうしよう、と言っても、やることといえば一つなんだけどね。

トイレに入って鍵を掛ける。

椿が吐いたあとは俺が全部片付けたから、今はもうさっぱり綺麗だ。

でも正直、吐いて苦しそうにしてる椿もそそるっていうか…いやいや。

ズボンを下ろして、モノをシゴく。

頭に浮かべるのはもちろん椿。

チューのときのすごい良さそうな顔。

もっと欲しいって強請ってくるピンクの瞳。

『はっ、可愛、い』

もっとやったら、どんな顔をしてくれたんだろ。

もっと、

先までやったら？

『ゔっ…はぁ。』

どろりとした白濁を手に吐き出す。

いつか、コレを椿に、なんて考えが浮かんでしまった。

再び勃たせる訳にはいかないため、その考えを頭から振り払う。

手を洗って、冷えてきた頭で考える。

病室から椿が出て行ったとき、椿は

「急ぎすぎだ」

と言っていた。

急ぎすぎ、ねぇ。

これは、脈ありなんじゃないか。

なんて期待が募るが、同時にあんなことして嫌われただろうか、とも考えて、苦しくなる。

『僕、本当に椿にベタ惚れだなぁ…。』

一人の部屋で、長く息を吐いた。