守沢千秋が私を嫌いな理由【守沢千秋】

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｢ 肉まんでも食うか？ ｣

『 …ん 、寒いから、手温めたい 』




寒いこの頃は日が落ちる時間が早くて
空はいつもより夜のように暗い 。


レッスンを終え 、みんなにライブをしたいことを話すと全員が頷いてくれた 。

ライブの準備となると朝から夜まで忙しくなる。
それでも笑顔で受け入れてくれたみんなには、頭が上がらない。


今こうして守沢くんと二人で歩いてることも
ファンに見つかってしまえばスクープになる 。
守沢くんはアイドル 。
高校を卒業すれば、きっと芸能界に入って。
憧れのヒーロー俳優になって 。


私は 、この先彼と共にいることができるのだろうか






. 。

二人で肉まんを最寄りのコンビニで買って
温かい 、なんて言い合って大きな公園のブランコに
並んで腰を下ろした 。

子供が遊ぶには遅い時間だからか
帰り道として通り過ぎる人ばかりで静か 。



二人きりだ 、と意識してしまって
また心臓がつぶれるように苦しくなる。








｢ … A 、えっとな 、少し前だが … 覚えてるか ｣

＿＿ 保健室で会ったとき 。


そう付け足して口を開く守沢くんに
少し俯いたまま うん と声を発した。


恥ずかしくて顔が見れない
自分の履いているローファーを意味もなく見つめて
守沢くんの次の言葉を待った。








冷たい風が吹いて 、木が揺れる音がして

流れ出した緊張感 、私が彼の方を向いたとき






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｢ 俺は 、Aのことが好きだ

＿＿＿ 付き合いたいと、思っている ｣








その真っ直ぐな瞳に私のことを写し出して


その瞬間ぼやけた私の視界は流れた涙のせいだ 。








『 たくさん 、頑張らなきゃいけないことあるよ 』



うん 、って言えばいいのにこう言ってしまったのは
不安だから 。


普通じゃない恋愛になってしまうのは必然だ 。
隠さなきゃいけない、これから先 バレてはいけない






｢ お前とじゃないと嫌なんだ、って…恥ずかしいな ｣







照れたように笑った守沢くんがブランコから腰を離して私の正面に来てしゃがんだ。


座ってる私よりも低い目線の守沢くんの
無意識の上目遣いにやられて思わずそっぽを向けば





｢ Aからも 好き を聞かせてくれ ｣







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( 守 沢 千 秋 が 私 を 嫌 い な 理 由 )






fin.

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