青天の霹靂【日々樹渉】 (ページ1)

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戯曲ページ1

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現役女子高生小説家と話題になり二年の歳月が過ぎ、もう誰もその話には触れなくなった。流行りや噂というものは、一瞬なのだと痛感する。

高校一年の夏、小説の投稿をしたところ大賞を受賞した私はその当時はそれはそれは脚光を浴びた。生きてから死ぬまでに会話する人数を、その頃は軽く超えるほど多くの人に声をかけられメディアに晒された。まるでそのようなことはもうなかったように、私は1人で黙々と作品を作る。

高校三年の春、とある男が私の所属する教室に現れた。放課後の一人だけで残る教室、そこが私の創作意欲を湧かせる場所であり第二の家とも言えるほどだった。トントン、と開いているのに教室の扉を丁寧に叩く音。見上げれば、その男は目の前で私の顔を覗き込んでいるのだから思わず驚いてペン先を折ってしまった。

夕焼けの橙色に染まった綺麗な白色のロングヘアー。女の人だとは思わなかったのはその身長の高さと、彼のから香る匂いだったからだろう。後から聞けば香水はつけない主義だと言っていたから、彼自身の匂いだろうけれど、とても不思議な感覚だった。見覚えの無い美少年が、私の目の前に現れた夕暮れ。未だ声を出せない私に、彼は道化師みたいな笑顔を向ける。

決して馬鹿にしているわけでは無いし、道化師のように不気味である訳でも無い。張り付いたような笑みが、私の心を抉っただけだ。演技めいた身振り手振りは、少しばかり不気味である。

｢貴女に脚本をお願いしたいのです｣

長々と演技のような語りを始めた彼の言いたいことをまとめればこれであった。脚本、と首を傾げれば実はですねと何故だかまた得意げに話を進める。

｢アイドル科演劇部で上演したいと思いましてね｣

彼との出会いは、こうして訪れた。

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