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そして迎えた放課後。
来て欲しいような。来て欲しくないような。
そんな複雑な思いを抱えていた。
「・・・家着いたら連絡して。」
亮くんは私にそう言って、一足先に帰って行った。
その笑顔は少し切なくて。
そんな顔させたくなかったのに。
.
「帰ろっか。」
「・・・うん。」
とっくに気付いていた。
それでも私は亮くんを選んだ。
亮くんはそんな私を許した。その上で私を守った。
私は、もう知っている。
夜が似合う大倉は、優しくなんてない。
.
「寄り道してええ？」
そう聞かれて頷いた私が連れてこられたのは、
バンド練習の場である廃工場。
お馴染みのドラムセットに座った彼は、ふぅと大きく息を吐いた。
私は床に腰を下ろす。
「・・・なんで、亮ちゃんなん？」
首を傾げるその顔は本当に幼くて。
でも質問は、全然可愛くない。
その質問の仕方。
まるで、まるで・・・・
「知ってたの。」
「俺、これでも結構モテるんやで？」
答えはYES。
いつからだろう。
もしかしたら私自身が自覚するもっと前なのかもしれない。
嫌われると分かっていて、何で大倉を突き放せなかったか。
色々言い訳を重ねていたけれど、分かってしまえば単純だ。
好きだから。
たとえ嫌われても、
たとえ思いの方向が“私に”向かなくても、
それでも傍に居たいと思ったから。
ただ、それだけのこと。
それを知っていて私に接した大倉は、本当に本当に、
「・・・最低。」
「ふはっ(笑)知ってたやろ？」
・・・とっくに、とっくに知ってたよ。
知ってた上で堕ちたのは私の方。
そして、ダメだと知っていて振り向いてしまったのは私。
今更ながら何でこんな男のことを好きになったのか、自分でもよく分からない。
「それで？なんで亮ちゃんなん？」
大倉が聞きたいことはつまり、
“なんで俺じゃないの？”そう言う事で。
口元は笑っているのに、私を見つめる茶色い瞳は全然笑っていない。
大倉の瞳は、逃げを許していなかった。
.
「亮くんが、好きだから。」
.
私は初めて、見え透いた嘘を意図的に付いた。
大倉の綺麗な顔が歪んだ。
.
「A、行かんとってよ。」
どうして今そんなこと言うの。
思ってもないくせに。
じゃあ何で。
なんでクリスマスのあの夜、選んだのはあの女だったのか。
私じゃなくて、あの女だったのか。
・・・嘘付き。
だから私は茶髪にしなかったのに。
それは私の嫉妬とプライドの象徴。
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なるせ*(プロフ) - 笹塚カナメさん» コメントありがとうございます!!共感していただけるのが作者としては一番嬉しいものです。感想ありがとうござました(*´▽｀*) (2018年5月16日 4時) (
レス) id: 7b25f3aafe (このIDを非表示/違反報告)
笹塚カナメ(プロフ) - 主人公の考え方、作者さんの表現力に感動いたしました。あっという間に読み終わってしまいました。これからも応援しております！ (2018年5月16日 2時) (レス) id: 180a39eeb3 (このIDを非表示/違反報告)
なるせ*(プロフ) - うさたぬき。さん» コメントありがとうございます（ ´∀｀）ここから佳境ですので続きもぜひぜひご覧下さい(*´∀`*)ノ (2018年4月11日 22時) (レス) id: 91b64b0a9a (このIDを非表示/違反報告)
うさたぬき。 - 続きが気になります！更新頑張って下さい＾＾ (2018年4月11日 16時) (レス) id: e14d5f519c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なるせ* | 作成日時：2018年4月2日 19時
