在りし日の日常 ページ10
ガチャリと重々しくリムジンのドアが開けられる。黒のドレスのままに、執事に手を引かれるままに…
立ち上がり、城の様な家に入って行った。
少しリフォームをしたのだろう。自分の部屋の位置が変わっており、家具の位置も変わっていた。
夕食になりましたらお呼び致しますので。とだけ言い残し、部屋から出て行った。
何気無く、クローゼットを開けてみた。ぎっちりと、今にも溢れださんばかりに服が詰め込まれていた。
『…はぁ…着替えなくちゃ…いけないんだよなぁ…?』
コンコン…控え目なノックと共に、スルリと入って来たのは…
「お久し振りでございます。お嬢様。お着替えのお手伝いに参りました。」
この神無月家の侍女の管理をしている、侍女長のランファだった。
『貴女ももう良い歳でしょう?まだここで働いていたのね。もういないかと思っていたわ。』
くるりとランファの方を向き、スタスタと歩き出す。それとは反対に、ランファはクローゼットの方へと歩き出していた。
「お嬢様は何色がお好きで?最近好みを聞いていませんでしたので、お針子達も大変だったのですよ?」
幾つかのドレスを腕に抱え、こちらを向かずにランファはそう言う。反対に私はベットの上に座り、近くの本棚にあった本を取り出し…
ぱらぱらとページを捲っていた。
『好みだなんて、そんなもの。言ってもお父様が聞き入れてくださる保証は無いもの。
それに、最近毎日の様にドレスを着ることは無かったのよ?好みも何もなかったの。ただ、あるものを着る、みたいな感じね。』
ページからは目を離さず、ポツリと呟く様にそう言った。ランファは相変わらずクローゼットの中を弄っていたが…
「お嬢様らしくない発言でごさいますね。前のお嬢様は大変な我が儘で、自信家であったと記憶しておりますが…
まぁ、あの平凡な世界に居ては、そうもなるでしょうね。わたくしには…わからない世界ではごさいますが。」
『ランファは元々…この世界の住人では無かったのよね。成り上がり…と言うと言葉は悪いかもしれないけれど、
事実なのよね。まぁ…スラム街なんて私は知らないわ。見に行った事も無いわ。
見ようとも思わないのは私がこの世界の裏側を知らないから…見たくないから…なのかしら。』
そう、このランファは、元々スラム街に居たみすぼらしい女性だった。ひょんな事からお父様がランファを気に入り、
高度な教育を施させ、侍女長になるまでに仕立て上げた…そんな女性。私は…
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カンナ(プロフ) - どっちもきになりますがハッピーエンドが見たいです!!。ただもし余裕があるのなら分岐点を作ってハッピーバッドどちらも書くのがいいかと思います(自分がどっちのエンドも気になってるだけですすみません;)これからも更新楽しみにしています。頑張ってください^^ (2014年5月17日 14時) (レス) id: 86dbfd6970 (このIDを非表示/違反報告)
persepone(プロフ) - ハッピーエンドでお願いします!! (2014年5月17日 4時) (携帯から) (レス) id: 289cdd45b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鋳薔薇 | 作成日時:2014年1月1日 15時