アナログの闘い ページ31
自らの書斎へと足を向けた。ここにはあまり行かない。いや…
いかないようにしていた…の方が正しいのかと思う。俺が…
唯一と言っていいほど…嫌いな部屋だったからだ。
『…確か…ここに…あったはず…なのだがな…』
そう独り言を呟きながら、書斎にひとつだけある机の棚や引き出しを漁る。
『あ、これだ…これならば、バレることはない。』
父は俺がネットばかりをやっているデジタル娘だと思っている。だったら…
『こっちはアナログで勝負してやるか。』
そう言って机の上に広げたものは…レターセットだった。俺が随分前に使い、ここ最近は全く使っていなかったものだった。
『さて…と。書き始めるか。時間はあまりないと思っていいな。』
そう言って羽ペンを取り、久方ぶりにインク壺を開いて…ペンを紙に滑らせ始めた。
…どうか。この気持ちが伝わらず、隠し通せたならば、良かったものを…
そう、心の中でぼやきながら、紙にペンを滑らせていた。
………………………………………………………
「……様!お嬢様!」
『…シル…ク…?』
どうやら…手紙を書いていて…眠ってしまった様だ。傍らには、冷め切った飲みかけのティーカップがあった。
たしか…サヴァンが手紙を書いている途中で来たので、ダージリンティーを頼んだのだったか…
数口飲んだ事は覚えているのだが…
「えぇ。そうですよ。お嬢様。僭越ながら、申し上げさせて頂きます。出発の…お時間となりましたので…お迎えに上がりました。
…お手紙を書かれていたのですか…?書き終わっているのならば…切手をお持ち致しましょう。宜しいでしょうか?」
『そうね…お願いするわ。1枚でいいわ。』
「畏まりました。では…失礼致します。』
そう言ってシルクが出て行く。俺は席から立ち上がり、背伸びをする。
『奴は…大局を見誤ることはない。彼奴だったら…この二つの手紙を…好きな様に扱ってくれるだろう。
それが…こちらにとって、良いものであると良いのだがな。』
少し大きめの封筒を取り出し、再度羽ペンをインク壺につけ、ペンを走らせ始めた。
「お持ち致しました。どうぞ。」
シルクがとってきてくれた切手を封筒に貼り、封蝋でしっかりと封をする。
『これが…こちらにも、向こうにも…GIFTにならなければ良いのだかな。
俺としては…この2つの手紙が…せめて、GIFTではなく、GIFTである事を…願うのみ…になってしまったんだな…
その封筒を持ち…
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カンナ(プロフ) - どっちもきになりますがハッピーエンドが見たいです!!。ただもし余裕があるのなら分岐点を作ってハッピーバッドどちらも書くのがいいかと思います(自分がどっちのエンドも気になってるだけですすみません;)これからも更新楽しみにしています。頑張ってください^^ (2014年5月17日 14時) (レス) id: 86dbfd6970 (このIDを非表示/違反報告)
persepone(プロフ) - ハッピーエンドでお願いします!! (2014年5月17日 4時) (携帯から) (レス) id: 289cdd45b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鋳薔薇 | 作成日時:2014年1月1日 15時