110 S side ページ20
ザワリ、と教室の空気が揺れる……そんな感覚に、本から視線を上げれば。
やけにざわめく廊下から抜け出すように教室へと入ってきたのは、この学園の支配者。
昨日もいつも通り部屋には帰ってこなかったから。
俺が連れ出さないとそうそう教室なんてこない彼の行動に驚きながら、手にしていた本を机の上へと置いた。
ワッと扉に出来た人垣を掻き分けて、列の先頭へと飛び出せば、待ってましたと言わんばかりに俺へと向けられる彼の温厚な瞳。
でも、これは偽物だって分かってる。
本心ではまとわりつく生徒達を疎んでいることだろう……それが自分が招いた所為であることも忘れて。
「智くん……来たんだ」
「何だよ、その顔。翔くんが言うから来たのに」
「いや嬉しいよ？嬉しいんだけど……」
一体、どんな風の吹き回しなんだ。
この前から少しずつ普段の彼と違っているような気がするけれど、これもただの気まぐれなんだろうか。
ちょっとごめんね、と言うだけで道が開かれていく。
常人なら異様だと思えるであろうこんな光景は共にしてきた年月に比例して既に見慣れてしまった。
チカラを使っている素振りはこれっぽっちも無いというのに、これだけの人の心を操って。
ほんと恐ろしい人だよ。
智くんの席は教室の最後列の１番端。
中等部の頃から今まで、いくら席替えをしようともそれは絶対に変わらなかった。
そしてその隣の席が俺だと言うことも。
口を押さえることもなく大あくびをした彼は、当然と言わんばかりに机に突っ伏して。
恐らくチャイムが鳴っても起きるなんてことはないだろう。
何しろ先生も生徒も誰も彼のことを怒るなんて真似は出来ないんだから。
「……おやすみ」
かと言う俺も……こればっかりはどうしようもないことだけどね。
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まぁや(プロフ) - くみさん» くみ様のお言葉が大野さんまで届きますよう…。そんな風に思って下さっていて嬉しいです！これからも楽しんで頂けますよう頑張ります!! (2014年5月11日 23時) (
レス) id: a8436af674 (このIDを非表示/違反報告)
まぁや(プロフ) - ツバサさん» ありがとうございます！嬉しいです^^ 少し危ないｶﾝｹｲ…どこまで堕ちて行ってしまうのか。救い出してくれることを祈るばかりですね…！ (2014年5月11日 23時) (レス) id: a8436af674 (このIDを非表示/違反報告)
まぁや(プロフ) - ままさん» そうですね。そう願うばかりです……が……その辺りを楽しみにして頂けたらと思います！ (2014年5月11日 23時) (レス) id: a8436af674 (このIDを非表示/違反報告)
まぁや(プロフ) - ワカツキさん» 大野さんがついに動き出しちゃいました…！ (2014年5月11日 23時) (レス) id: a8436af674 (このIDを非表示/違反報告)
くみ - 大野さん、美しい松本さんを見つけたからまさか二宮さんは用済みとか言わないでね！相葉さん、二宮さんのピンチを救ってあげて下さい！と、いつも感情移入しながら見ています。更新、楽しみにしています！ (2014年5月11日 4時) (携帯から) (レス) id: d6906b49f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まぁや
作成日時：2014年4月24日 18時
