チェレステとホワイト

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大きく一歩を踏み出した真波くん。

なにか嫌なものを感じて、詰められた距離の分 離れようとすると腰に真波くんの腕が回る。
逃れようとしても、それを許さない力強さ。

ぐ、と顔も近づく。

真波くんの吐息が肌をかすめる。
唇が触れそう。

こつん、と額が合わさる。





「やっ、真波くん…！」






両手で彼の胸を押すも、びくともしない。


いやだ、怖い、逃げられない。





「それ抵抗のつもりですか？」

「やめて、おねが、い」

「あはは、そんなかわいい顔で言われたら」






もっと意地悪したくなるなぁ。

そう言って彼は私の首に顔をうずめた。



その瞬間、首に感じる生暖かさと ぬる、とした感触。





「ひゃ…！」






たぶん、これ、きっと、舐められてる…！

と思えば、小さな痛みを感じる。



その痛みを感じた後、真波くんは私の腰から腕を離した。






「………もー、Aさんが可愛いから暴走しかけたぁ〜」







両手を上げ、降参するようなポーズをとり いつも通り飄々と笑う真波くん。


やっと緊張から解放されたせいか、体に力が入らない。
あ、腰抜けそう。






「ま、真波くんのばか！えっち！」

「えー、心外ー」

「なにが心外なの！からかうのはやめて！」

「からかってませんよ」

「は、」


「俺は本気。
…ねぇ、Aさん。いい加減わかってよ。
さっき抵抗できなかったでしょ？逃げられなかったでしょ？
男ってそうなんだよ。いつだって女の子を襲えるんだ。

しかも俺はAさんが好きだからね。

少しでも隙見せてみなよ。



ほんとに襲って、食べちゃうからね」







余裕なさげに私の頬を撫でる。

目の前にいるのは、いつも可愛い笑顔で駆け寄ってきてくれる"後輩"じゃなくて


私を異性として見る"男の子"だった。




そう考えた瞬間、ぞく、とする。



あぁ、今まできっと 牙を隠してたんだなぁと呑気なことを考える。


どうして油断できたんだろう。いつ食べられてもおかしくなかったのに。




「真波、くん…」

「…はぁ、Aさん、好き」





ため息をつきながら 苦しそうにそう言う。

心臓を鷲掴みされた気分だった。
思わずＴシャツの上から胸を握るように抑える。

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