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「(何て言えば、いいのかな…)」
私は黒田くんじゃない。
黒田くんが抱えてる、悔しさだったり憤りだったりを察することはできるけど
それを全部感じれるわけではない。
黒田くんが欲しい言葉をかけてあげられるわけでもない。
一人でいたいのか、誰か傍にいてほしいのかもわからない。
そう、しょせん 私は彼に対して何もしてあげられないのだ。
余計なことはしないほうがいい、と部室に戻ろうとする。
けど、やはりその足を止めた。
私が今、黒田くんを一人にしたくないから。
勝手だ。黒田くんは一人になりたいかもしれないのに。
じゃり、と砂を踏み、黒田くんの隣に座った。
黒田くんは重たそうに頭を持ち上げ、ちらりと横目で私を一瞥した。
「…よぉ、A」
「…やぁ、黒田くん」
「はは、見てたんだろ？レース」
「…うん」
「完敗だぜ…一年坊主にな…」
へらりと力なく笑う黒田くん。
無理して笑ってるのは明らかだった。
でも無理して笑うななんて言えなかった。
「まぁ、ヒーローは遅れて出てくるからな。インハイは来年のお楽しみだ」
「…うん、黒田くんはヒーローだよ」
「おい、ここ笑うところだぜ、なに肯定して」
「ヒーローだよ！」
思わず声を張った。
同じ学年だし、知ってるよ。
最初は自分は何でもできる、みたいな空気を醸し出してて苦手だったけど、
徐々に 自分は完璧じゃないって気づいて、人間は皆 完璧にはなれない、って気づいて
プライド捨てて荒北さんに頭下げて、
毎日必死にペダル回して、
毎日くたくたになっても部活は休まないで、
これのどこがヒーローじゃないって言うの？
「A、お前、」
「っ、」
ぼたぼたと涙が出た。
何泣いてるの私、ここ泣くところじゃないでしょ。
私が泣いちゃダメでしょ、マネージャーなんだから黒田くんを支えなきゃダメでしょ。
泣きたいのは、黒田くんでしょ。
でも皮肉なもので、止めようとすればするほど涙というものは止まらない。
急いでジャージの袖でごしごしと涙を拭う。
「ごめ、今、とめるから」
「…A」
「はは、もう、私、マネージャー失格…」
「…んなことねーよ」
ぽん、と頭に黒田くんの手が乗る。
涙でにじむ視界で黒田くんを見れば、
「…あんがとな…」
そう言って、ぽたりと涙を流して力なく笑う、黒田くんがいた。
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桃(プロフ) - さゆりん★さん» ご愛読と応援ありがとうございます！展開が気になる、と仰って頂けると、どう書こうかなぁ、と先を書くのが楽しみになります。荒北さん素敵ですよね、今度荒北さんの小説書こうかなぁ…。キャラの性格と言葉は気を使っているので着目して頂けたのが嬉しいです(^^♪ (2019年6月11日 21時) (
レス) id: b8ab658ad3 (このIDを非表示/違反報告)
さゆりん★(プロフ) - めっちゃくちゃ面白いです！！いつの間にか次ボタン押していて、一気に読んでました… 展開がものすごく気になります！！真波くんは可愛いけど、私はちょい荒北押しかも… キャラの性格も言い方ぴったりすぎて、普通に声優さんの声が聞こえます (笑) 応援しています！！ (2019年6月11日 13時) (レス) id: 269cb7a691 (このIDを非表示/違反報告)
桃(プロフ) - 陽愛さん» 初めまして、ご愛読と応援ありがとうございます(#^^#)評価ももちろん嬉しいですが、こうしてコメントを頂けることが何よりも嬉しいです！陽愛様のコメントが私の創作意欲を掻き立ててくださいます(*'▽')これからもよろしくお願いします！ (2019年6月5日 8時) (レス) id: b8ab658ad3 (このIDを非表示/違反報告)
陽愛 - 初めまして！いつも楽しみに読んでいます(^^)高評価が何度も押せればいいのですが(>_<)これからも応援しています！ (2019年6月4日 22時) (レス) id: 99136d3c89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桃 | 作成日時：2019年5月12日 11時
