こっちを向いてよお嬢さん

２４つめ　土方side ページ25

「犯人は攘夷浪士です。
見張りの真選組の隊士を斬って、隊服を盗んで身に着けたらしく…。
申し訳ありません…、気づくことができませんでした」

「ちっ…、まさか堂々と表面から来るとはな…。…姫の容体は？」

「出血がひどく、意識不明の状態です」

「…そうか。まぁ姫の親父が幕府に仕事に行って、屋敷にいなくてよかったぜ。犯人の目的は幕府側をつぶすってことだからな…見つけられた瞬間に殺されてただろうよ」




ちらり、と総悟を見る。

ずっと俯いたまま、俺達の話を聞く。



…姫に傷がついたのが相当堪えたんだろう。

自分がいながら守れないのは、死にたくなるほど悔しい。





「…おい、総悟しっかりしろ」

「…。」

「しょげてる場合じゃねーよ。今度こそ姫を守る。…いいな」

「……言われなくても」





それだけ言うと、障子を開け 部屋を出る総悟。


…あいつもまだまだ弱い。

大事なもんに手ェ出されたら、感情丸出しになんの気づいてねーな。






「…しかし、やっぱりどの屋敷よりも九条家に来るな…」

「え？何故ですか？」

「九条家は公家の中でも権力が強い。その上に姫があれだけの美貌の持ち主なら 狙われるリスクも高くなるこって」






倒幕目的の攘夷志士。

姫の美貌に目がくらむ野郎。

それに加えて、金目的の泥棒。


困ったもんだ、九条家はいいカモなんて言えるレベルじゃねーぞ。







「取りあえず、警備の強化だ。

ありとあらゆるところに隊士を配置しろ。

あと、江戸の町の見回りも もっと警戒させろ。


…逃がすんじゃねぇ、姫を傷つけたこと。



俺達を敵に回したことを後悔させてやらぁ、くそ野郎」

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