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19つめ 主人公side ページ20

「ガキってよぉ、自分が大事にしてるもん 誰かに取られるとムカついて態度に出すじゃねぇか」

「…?は、はい」

「それ同じだ」

「え?」



意味が分からず、首をかしげる。





「姫さんは、総悟にとって大事なやつなんだよ。そんな姫さんがここ一週間 俺と話す機会や一緒にいる機会が増えて 気分悪くしたんだろーな。

昔にもあったぜ、似たようなこと。

大事な姉さんと近藤さんを、俺に取られた、気に食わねェって八つ当たりされた」




「…近藤さん?」


「あぁ、真選組の大将だ。総悟は昔っから近藤さんに懐いててな。…まぁ話が脱線するから昔話はここまでにしとくけどよ」






やれやれ、と土方さんは 立ち上がり、障子に手をかける。






「総悟と仲良くしてやってくれよな。


こいつ、不器用なだけなんだよ」






土方さんによって開かれた障子の向こう側には、総悟くんの姿。

何も言わずに去っていく土方さん。



総悟くんは部屋に足を踏み入れると障子を閉め、私の前に座る。






「…A」






びく、と無意識に肩が揺れる。

そんな私をじ、と見つめる総悟くん。





「……さっきは、ひでェこと言って、悪かった」






ぽつり、と。




どうしようもないくらい頼りない声。






「…っ、ううん、ううん、私も、泣いて…ごめんなさい」

「Aが謝ることじゃねェ、俺が、ちっせェ男だから」





ぎし。


床の鳴る音がすると思うと、総悟くんが膝の上の乗っていた私の手を優しく包み込んだ。






「もう言わねェ、あんなこと。

大事にする。

誓う。



………ぜってぇ、大事にする」






ぎゅ、と手に力が籠められる。




ぼろ、とまた涙が出た。





それを見た総悟くんは、ぎょ、と驚いた顔をする。






「わ、悪ィ、触られんの嫌だったかィ」

「違います!…違うんです、これは、」






さっきまでの暗い気持ちなんて嘘みたいに。

雨雲が流れて、光が差すみたいな気持ち。





「これは、うれし泣き、です」





そう言うと、総悟くんは ほ、と息をつく。


そして。





「…なぁ、ちょっくら 抱きしめてもいいかィ」





その言葉を聞いて、ふふ、と笑いが込み上げる。

土方さんは好き。


でも。




総悟くんはもっと好き。






返事も返さず、総悟くんに抱き着く。


総悟くんはそんな私を抱き留め、壊れ物を扱うかのように抱きしめてくれた。

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(プロフ) - 茜さん» 銀魂に出てくるキャラは皆素敵なので、少しでも良い所を出せていけたらな…と思いつつ書いています。だから、このようなコメントを頂けてとても嬉しいです!本当にありがとうございます(*'▽') (2016年8月10日 20時) (レス) id: 9f8ab9b016 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - もちろんです!この作品って沖田さんもすごく魅力的にかかれているけど、その他の銀さんとか夢主ちゃんもとっても魅力的で素敵ですよね! (2016年8月6日 15時) (レス) id: 4df2c4eb49 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 茜さん» 抑え…きれるでしょうか…彼は…。二編で沖田さんはしっちゃかめっちゃかになります。どうかそんな彼を見守ってあげてください!(*'▽') (2016年8月6日 13時) (レス) id: 9f8ab9b016 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 沖田くん抑えきれるかな…。いや私的には抑えなくてもi((殴蹴 (2016年8月3日 1時) (レス) id: 4df2c4eb49 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 茜さん» ただいま、第二編を作成いたしました。こちらでの執筆は終了しましたので、完結という形にしてしまいました…!お騒がせしてしまい申し訳ありません。どうかこれからもよろしくお願いいたします。 (2016年8月2日 20時) (レス) id: 9f8ab9b016 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2016年7月5日 20時

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