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あのあとフルボッコにされたしまさかを放置して、
新しい港にたどり着いたので、
うらたさんは船の整備と清掃。
センラと私は手分けして買い出しをすることになった。
坂田も復活して手伝っていたが、
志麻は相変わらず部屋で悶絶していた。
情けない、と思いながら
頭にできたたんこぶを冷やす為の冷却剤を持っていってあげる。
ここの船の人たちは、おかしな人たちばかりだ。
・
そうやって船での生活を過ごしてきた。
もう私がこの船に来て1年と半年、
今は冬。
雪が舞う曇りの空に吐息をはきだす時期。
そんな平凡な私たちの生活が崩れたのは、
私の今年の誕生日が過ぎた頃だった。
20歳になった私を4人はバカみたいに祝ってくれた。
今まで祝ってくれる人は兄しかいなかったから
少しだけ嬉しかった。
19歳の時も祝ってくれたっけ。
坂田があほみたいに騒いで、
慣れないお酒飲んで潰れてたな。
なんて思いながら、
坂田にナイフを降り下ろす。
慣れたもので大分気づかれなくなったが
また、止められてしまった。
「残念俺の勝ちー！Aの黒星4596個目！」
「……数えてるの。」
「メモつけてるの。日記にも今日は何回とか
どんな攻撃とか、
成長してきてるとか書いてるんだよ？」
「バカじゃないの。」
「えー？」
あざとく首をかしげて私の頭を撫でようとする坂田から逃げる。
もはや恒例行事みたいになった。
だって私坂田のことは嫌いだから。
だって坂田は兄を殺したんだから。
まだ許した訳じゃない。
たぶんこの先絶対許したりしない。
「触んないで。」
そうやって突き放すと、坂田は悲しそうに笑って
そっかと呟く。
その日の夜、
夢を見た。兄の死んだあの日の夢。
私の手から離れていく兄の背中が、
あんまりにも冷たくて。
「っ……おに、ちゃ…っ！！」
悪夢にうなされ飛び起きた。
まだ夜中の1時だった。
坂田はソファーで器用に寝ている。
ちょっと夜風に当たろう。
そう思って甲板に出た。
船の縁から海を眺めると、暗い水が揺らめいていた。
綺麗
頭に思い浮かんだ、兄の声。
まだ忘れていなかった兄の声。
私は昔兄がよく歌ってくれた歌を口ずさみ始めた。
いつの間にか声が震え、頬から伝う雨が、
ゆっくりと暗い暗い海のそこに沈んだ。
その時、
ふわりと、太陽の香りに包まれた。
これは、この香りは
・
歌詞はのせちゃダメなので曲名だけ。
テルーの唄みたいなのです。
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山犬 - 面白いです！はまっちゃったかも……頑張ってください！！ (2017年8月7日 17時) (
レス) id: 0a1d25e071 (このIDを非表示/違反報告)
孤黒 - 好きです！はい。これからも応援していますよ！ (2017年7月24日 19時) (レス) id: 2a7062127e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかば | 作成日時：2017年5月23日 22時
