九十三話 ページ18
体に少しの重みを感じてAは目を開ける。
火のついた暖炉、年数を感じさせる家の木の匂い。だが、新しい家ではないように見える。そして、少し薄汚いソファーがひとつ。
そこに座るのは羽根のようなピンクの上着を着ている男。
その傍には二チャリと笑う鼻水が垂れた男に金色の兜を被る半裸の男。
体を動かしてみるとジャリ、と無機質な音。
手足の自由はきかない。
あちらも私が起きたことに気づいたようだった。
｢お前、ここの島の住人じゃねェな？何故あそこに居た？｣
『あそこは無法地帯。何者が何しようと勝手でしょう』
｢...年は？どこから来た？｣
『年は10、どこからは...言えません。あなたは海賊のドンキホーテ・ドフラミンゴで合っているでしょうか？』
｢ほう...俺を知ってるか。ただのガキってことじゃァ無さそうだ｣
『そんなことより鎖を解いて頂けますか』
｢べへへ、ガキとは言えど何をするか分からねェ！ココから簡単に逃げられると思うなよ｣
｢丁度、
これがAとドンキホーテファミリーとの出会いだった。
ドフラミンゴの誘いに一応乗ってみることにしたAはこの島からは出ないことを条件に、ファミリーへの仮所属をした。
その時に会っていたのは、ドフラミンゴを含め、現最高幹部のトレーボル、ピーカ、ディアマンテの4人。
他のファミリーは別の場所での別行動。
何か大きなイベントの準備に取り掛かっているかのようだった。
後のドレスローザの悲劇の話になる。
仮所属の生活を続けて数ヶ月。
Aはドフラミンゴに呼ばれ、部屋に向かった。
｢もうじき、ここを出る｣
『そうですか』
｢数ヶ月の期間をおいて部下として、家族として、過ごしてきたがどうだ？A、ファミリーになる気になったか？｣
ドフラミンゴはいつもの不気味な微笑みをしながらAに問う。
彼は、彼女の答えはYESだと確信していた。
ローに代わって、将来自分の右腕となる未来が予想出来ていた。
いずれ、“ハート”の席を＿＿＿＿＿
彼女の答えは＿＿＿＿
『申し訳ないですが、お断りします』
その言葉は、すとん、と何も引っかかることなく真っ直ぐに響いた。
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作者名：つんてん | 作成日時：2022年11月3日 19時
