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はぁと大きなため息をついてスマホを机へと乱雑に起きソファに背中を預ける。
スマホの画面には検索サイトが開いてある。
まさかプレゼントのものによって込められた意味が違うだなんて知るわけないじゃないか。しかも腕時計は「貴方と同じ時間を過ごしたい」だなんて。そんなのまるで告白を通り越してプロポーズみたいな……。
不埒な考えがよぎるがぶんぶんと顔を横に振りその考えを頭の中から追い出す。
まさか英寿くんはそういう意図を含んで私にプレゼントしたとか?いやいやないない。プレゼントの意味を知ってる人なんてそういう類の話が好きな女の子ぐらいだろう。恐らく英寿くんは意味を知らなくて送ってきたはず、そうに違いない。
腕時計を貰った時は気まずいながらに接していたけど今ではすっかり避けてしまっている。彼と喋っているとどうしてもこのことが頭に浮かんでしまって呂律が上手くまわらなくなる。申し訳ないことをしているという自覚はあるが治せるかどうかと言われると当分は無理そうだ。
はぁ……今日はもう帰ろうかなぁ。
やることも無いし、このままサロンに入れば英寿くんと会うかもしれない。今現状1人の状態で英寿くんと2人っきりになるのはとてもハードルが高い。
立ち上がろうと両足に力をいれ、地面を強く蹴り上げようとしたそのとき、ソファについた手を上からやさしく握られる感覚がした。
突然のことに驚き、添えられている手、手から順番に手首、肘、肩を辿り目線を相手の顔へと向けた。
「よぉ」
「えーす……くん」
にっこりと弧を描く彼の目元。何故か楽しげな英寿くんをみてどくんと心臓が跳ねる。
「Aにずっと話しかけてたのに全然気づいてくれないからさ」
「ご、ごめん、何か用?」
「用がなかったらAに話しかけたらダメか?」
「いや、そんなことはないけど……」
腰に手を添えられて立ち上がっていた腰がストンとソファへと戻される。私との身体の間の距離をどんどんと詰められる。じわり、じわりと近づいてくるたびに私の心のうちが蕩けだして、全て暴かれてしまう気がして。
「英寿くん、その、近い」
「そう?」
「そう!」
必死に抵抗の言葉を口にすればピタリと止まる身体。止まったとほっとしたのも束の間で今度は近づきすぎた距離にどきまぎしてしまう。
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いとこんにゃく(プロフ) - ?さん» リクエストありがとうございます!了解しました! (2023年3月21日 21時) (レス) id: 7d068b8785 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - どうも、リクエスト失礼します!オーズのウヴァさんでツンデレ〜な感じで宜しければ書いて頂きたいです! (2023年3月20日 10時) (レス) id: 2395e0c03b (このIDを非表示/違反報告)
いとこんにゃく(プロフ) - 刻卯さん» はじめまして!了解しました!お時間頂くかもしれしれませんが気長にまって頂けると助かります! (2023年2月26日 18時) (レス) id: ebebe27350 (このIDを非表示/違反報告)
刻卯(プロフ) - はじめまして!リクエスト失礼します。ギーツで甘めのキューンくんを書けたらで構いませんのでお願いします。 (2023年2月26日 17時) (レス) id: e20218d379 (このIDを非表示/違反報告)
いとこんにゃく(プロフ) - 壱さん» 感想ありがとうございます!取り合い系大好きなので書いていてすごく楽しかったです。笑バレンタインネタ了解しました!お時間頂くかもしれませんが気長に待っていただけると幸いです🙏🤍 (2023年2月22日 23時) (レス) id: ebebe27350 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いとこんにゃく | 作成日時:2022年6月1日 0時