一目惚れ ページ10
夕飯の買い物を終え、騒がしい街中を歩いていたところ、ふと足が止まった。
反射的に足を止めてしまった。
すぐ隣を通り過ぎた2人の内の金髪の男性の背中を目で追いかけた。
一瞬だったけれど、カッコよかったなぁ…!!
スーツには不似合いな顔立ちが印象に残る。
頬に手をついた瞬間、スルッと腕からエコバッグが落ちてしまった。
コロコロと転がったみかん数個と白菜やら人参やらを急いで拾う。
うわっ、恥ずかし〜…!!
公共の場だから視線を感じて手が滑る。
早く拾わなければと余計焦ってしまい、拾うごとに時間が掛かってしまう。
「大丈夫すか?」
『あぁ…!ありがとうございます!』
突然目の前にしゃがんだ男性に見遣ると、なんと先程の一目惚れした彼ではないか。
一瞬思考が止まるも拾う手を進める。
もしかして、漏れた声に気づいてくれたのか…?
ありがとうございます と全て入れ終えたエコバッグをきっちり持って、もう一度お礼を言う。
「あの、お姉さんさっき俺らの事見てましたよね」
『か、勘違いじゃないですか?!』
「い〜や!俺ばっちり視線感じてました!もしかして俺に気があるとかぁ?」
にんまりと小悪魔のようなその視線に負け、思わず下を向く。
他人をジロジロ見るのって不審者だよね…!!
どうしよう。気があるのは本当だけれど、いきなりそんな知らない女に……ね……
『……実は___』
「行くぞデンジ。すみません、では」
隣にいたちょんまげの男性がそのデンジという人の襟を引っ張って連行する。
もしかしてお仕事の途中だったとか…?
手伝ってもらって、お時間を取ってしまって申し訳ないことをしたなぁ……
デンジ…
デンジさん、か
デ「ちょっ 早パイ……お姉さんまた会ったらデートしよ〜ぜぇ!」
『待ってます、デンジさん』
ブンブンと手を振る彼が愛らしくて、思わず笑顔になる。
やがて彼は隣の男性に文句を言いながら去っていったが、その姿も人混みに入って見えなくなった。
それにしても、デートかぁ……
まだ会えるか分からないのに、その想像をしてしまいじんわり胸と顔が熱くなる。
また会いましょう、デンジさん
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作者名:さくれ | 作成日時:2022年12月2日 17時