知らない顔5 ページ16
『…冥さん?』
冥「今くらい五条のことは忘れて、私と楽しく過ごそう。大丈夫、後でちゃんと返すよ。」
心でも読まれたんじゃないかと思うくらい
冥さんの言葉が胸の違和感を霞ませてくれる
今はそれに甘えて、本当に純粋に冥さんとの時間を楽しんだ
今日の任務の話
この間硝子さんと反転術式の勉強をした話
学校での話
お金の素晴らしさについて
冥さんには退屈かもしれない話も快く聞いてくれた
2時間程度の滞在も一瞬で時間は過ぎ
時計の針はもう22時過ぎを指していた
冥「そろそろあの男も焦り始めた頃かな?想像するだけでも実に愉快だね。」
『…どうですかね、家に居るんじゃないかな。』
冥「なぜそう思うんだい?」
『…。今日女の人が来たんです。この後悟と会うから、と言ってました。』
冥「なるほど。だから出てきたんだね。」
『はい。なんか…、今日は悟の顔見たくなかったから…。子どもですよね。親子でも兄妹でもない赤の他人なのに…。自分が図々しくて、恥ずかしいです。』
散々談笑した後だからなのか随分と自分の口が軽くなっている
もやもやして自分でも整理できていなかった感情が
意外にも喋りだすとどんどん言葉になって出てくる
なんだ、私は、あの綺麗な女性に嫉妬してるんだ
どれだけ背伸びしても14歳の少女からは抜け出せない
本来悟の隣にはああいう大人の女性が相応しいのだ
この不思議な関係も私が1人で生きていけるようになるまでの期限付き
勘違いも、自惚れもしてはいけない
こんな心地良さも、幸せも、私が触れていいものではないのだ
『…冥さん、』
冥「なんだい?」
『今日だけ、冥さんの所に行っていいですか?今晩だけ…』
冥「構わないが…、一晩で良いの?何ならずっと居たっていいよ。」
『いえ。我儘ですけど、許されるならもう少し…、悟の所にいたいです。』
冥「…ああ、愛いねぇA。本当に君が欲しくなってきた。」
優しく頭を撫でてくれる冥さんの肩に寄り掛かると
今度は両腕で抱き寄せてくれた
一晩だけ冥さんの優しさに甘えよう
明日からはまた何もなかったように過ごせるように
悟の重荷になってしまわないように
またいつも通りの元の私に戻って貴方の所に帰るから
店を出ると繁華街の賑わう声があちこちで聞こえてくる
夜が耽って街が大人の色に染まるのを感じながら
タクシーに乗り冥さんの自宅に向かった
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茉莉 - この作品が好きです。更新、待ってます! (2020年11月22日 22時) (レス) id: a68061a5cd (このIDを非表示/違反報告)
Gettion - え…心臓痛くなるくらい好きです。応援しています! (2020年11月6日 18時) (レス) id: b24edd395c (このIDを非表示/違反報告)
uka8502(プロフ) - 更新停止ですか??ホントに面白すぎてハマりました!一気に見ました!!更新ホントにお願いしますっ! (2020年10月19日 1時) (レス) id: 7913de20e0 (このIDを非表示/違反報告)
AiRIN(プロフ) - いつも楽しく拝見しています!正直、縞さんの作品ならどれも大歓迎ですが、しにたがり姫か好きなので、続編を待ってます! (2020年5月17日 13時) (レス) id: 931e2c7403 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:縞 | 作成日時:2020年4月3日 2時