言えるわけないのに【4部承太郎】 ページ28
「はあ…承太郎さん…」
「おめー、ま〜たそれ言ってるのかよ」
「恋する乙女なんだから仕方ないのー」
そう返す私に呆れたようにはいはいと返す仗助。でも仕方ないよ、ホントに。好きなんだから
承太郎さんは、大きくて背の高い体に整った顔、いつもクールで冷静だけどたまに荒々しくなってしまうところ、落ち着いた低い声、強いところ、などの全てがかっこいい
でも既婚者だから私に勝ち目なんて絶対にない。だからこうして想ってるだけでいい
仗助や億泰は、いつもこんな私に対して諦めの悪い奴だ、なんて言ってくるけど、最初から期待なんてしてない
ただ彼を見て話をするだけで幸せなんだ
「あっ!!承太郎さん!!!」
私がそう言って駆け出すと、二人は苦笑いで肩を竦めた。そんなのお構い無しで、無表情でこちらを向いた承太郎さんに近付く
「承太郎さん、また海の生き物について教えてください」
私は承太郎さんと会ってから学者になるのもいいななんて思い始めている。そのために、私は彼から話を聞いているのだ。会う口実にしているというのもあるけど
「ああ、分かった。だが今日は少し用事があってな。すまない」
彼はそう言ってそのまま通り過ぎて行った。完全に脈無し。分かりきってることだけどやっぱり辛い
はあ、と大きなため息をつくと、傍で見てた二人に何か飲もーぜ、と励まされた。私は頷いた
「いーかげんよお、諦めたらいいんじゃあねえの?」
「Aの意思も尊重すべきだがよお、あれは無理そうだぜぇ。相手が悪すぎる」
アイスコーヒーを飲んでいる私にそう言う二人。私はストローから口を離して言った
「やっぱりそう思うよね…でも私、元から期待してないし。好きになっちゃったのは仕方ないよ…」
苦い。この苦さは飲み物のせいなのか。苦しい。この苦しさも飲み物のせい?いや、そんなはずない
「私ってバカだよね。何であんな人好きになったんだろう。もうしんどいよ…」
話している最中に涙が溢れてきた。二人が慌てている。そんなこと気にせず私は泣き出す。自分でも泣こうだなんて思ってないのに
「な、何も泣くこたあねえだろ……悪かったよ」
「す、すまねえ…俺、余計なこと言っちまったかなぁ…」
「う、ううん、二人共悪くないよ、ごめん、ね…」
涙を拭っていると、頭上から聞きなれた声が降る
「どうした、A」
今一番会いたくて、会いたくない人の声だった。ああ、最悪だ
224人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たつみ(プロフ) - 海月さん» いえいえ、私もサーレー好きなのでリクエスト貰えて嬉しいです、ありがとうございます!海月様の思っていたものと違っていないかどうか不安でしたが、ご期待に添えられたようなら良かったです<(_ _)>また機会があればよろしくお願い致します! (2021年6月4日 13時) (レス) id: 1c25c6a3e1 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - リクエストにお応えしていただきありがとうございました。今回もとても素晴らしいお話でした。サーレーの夢小説を書いてくれる人は少ないので助かっています。本当にありがとうございました。 (2021年6月4日 7時) (レス) id: fb1aebaa24 (このIDを非表示/違反報告)
たつみ(プロフ) - 海月さん» 了解です!遅くなってすみません(>_<;)出来上がった話に問題点があったら遠慮なく仰ってください!少々お時間頂きます<(_ _)> (2021年6月4日 0時) (レス) id: 1c25c6a3e1 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - リクエスト失礼します。サーレーの夢をお願いします。病んでいる感じで書いてくれたら嬉しいです。よろしくお願いします。 (2021年6月1日 22時) (レス) id: fb1aebaa24 (このIDを非表示/違反報告)
たつみ(プロフ) - モモまんじゅうさん» 了解です!ありがとうございますm(*_ _)m完成したものに何か気に入らない点などがありましたら、遠慮なく仰ってください! (2021年5月28日 21時) (レス) id: 1c25c6a3e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ペンシル x他1人 | 作者ホームページ:http://uranaimonsuto
作成日時:2018年12月30日 17時