淡い思い出【花京院】 ページ16
転校して行った花京院くんが、エジプトで怪死していたと人伝に聞いた時、私は泣きながら彼のことを思い出していた
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花京院くんとは、同じクラスで隣の席だった
彼は容姿端麗で成績優秀、それでいて友人をつくらない一匹狼として定評があった
モテるから彼女も友達もいっぱいいそうだけど、そんなことはないらしい。彼自身人を避けるような挙動も見せないけど、人との関わりを自分から絶っているように見えた
だがそれは、何か理由があるように見えた
ある日夢を見た。知らない老婆に弓で身体を射られるような夢。その日から、何故か不思議な力が使えるようになり、隣の彼の背後に不思議なものが見えるようになった
「ねえ、花京院、くん…」
「…はい?何でしょうか」
柔らかい笑みを携えてこちらに向く彼。私は意を決して聞くことにした
「君の後ろに立っている、緑色の人って、なに…?」
そう聞いた時の彼の顔と言ったら、もう言葉では表せられないほどだった
「…っ、見えるのか、コレが…!」
「うん、見える…よ」
その日から、彼とはよく話すようになった
彼が友達を作らない理由。それは、俗に言うスタンドが見えない相手とは分かり合えないから、という理由だった。彼の言葉を聞いて、一理ある、と頷いた
「でも、どうして急に見えるようになったんだ?」
休み時間に彼がそう聞いてくる。私はかくかくしかじかと、夢の出来事を話すと彼は不思議そうに唸った
「まあまあ、運命ってことでいいんじゃない?花京院と友達になれて、私としては儲けもんよ」
しかめっ面の彼を何とか笑わせたくて、明るくそう言えば、彼はそれにつられて大きな口で楽しそうに笑った
ある日エジプトに行ってきたらしい彼は、まるで人が変わったかのようになっていた。冷たく私を見下ろす彼は、何かに操られているように見えて、それ以来怖くて疎遠になっていた
彼が転校して行ったのは、その少し後だった。お別れを言うべきだったと後悔したのを覚えている
彼が転校して行って約1ヶ月後に、彼から電話が来た。どうやら彼は異国の地を、目的を持って仲間と旅をしているらしい。以前より明るくなっていた彼にまた会う約束をして、その日は電話を切った
そして、その約二十日後に、彼は死んだ
私は彼に友情以外の感情を持っていたことを、今やっと気付いた。私は彼が好きだったんだ
後悔しても彼は戻らない。私は彼の笑顔を思い出しながら、何度も泣いた
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たつみ(プロフ) - 海月さん» いえいえ、私もサーレー好きなのでリクエスト貰えて嬉しいです、ありがとうございます!海月様の思っていたものと違っていないかどうか不安でしたが、ご期待に添えられたようなら良かったです<(_ _)>また機会があればよろしくお願い致します! (2021年6月4日 13時) (レス) id: 1c25c6a3e1 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - リクエストにお応えしていただきありがとうございました。今回もとても素晴らしいお話でした。サーレーの夢小説を書いてくれる人は少ないので助かっています。本当にありがとうございました。 (2021年6月4日 7時) (レス) id: fb1aebaa24 (このIDを非表示/違反報告)
たつみ(プロフ) - 海月さん» 了解です!遅くなってすみません(>_<;)出来上がった話に問題点があったら遠慮なく仰ってください!少々お時間頂きます<(_ _)> (2021年6月4日 0時) (レス) id: 1c25c6a3e1 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - リクエスト失礼します。サーレーの夢をお願いします。病んでいる感じで書いてくれたら嬉しいです。よろしくお願いします。 (2021年6月1日 22時) (レス) id: fb1aebaa24 (このIDを非表示/違反報告)
たつみ(プロフ) - モモまんじゅうさん» 了解です!ありがとうございますm(*_ _)m完成したものに何か気に入らない点などがありましたら、遠慮なく仰ってください! (2021年5月28日 21時) (レス) id: 1c25c6a3e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ペンシル x他1人 | 作者ホームページ:http://uranaimonsuto
作成日時:2018年12月30日 17時